"家出と呼んだ警察を私は許さない" 第9話
迫田たちの捜査によってのに晒されたのは、度経済成期のに蠢いていた、戦慄すべきの巨ネットワークだった。
『双葉育園』の園・神義徳。 表向きは孤児救済に涯を捧げた名士としてられていたが、その実態は、貧困庭の児童をへ売りばす国際売買・法養子縁組ブローカーの元締めだったのだ。
当の昭代、急激な都発と経済格差ので、寄りのない子供や、貧しい単庭の子供を「社会浄化」の名目で施設に収容するきが全国にした。 神はその制度の抜け穴を悪用していた。 裏で親の帰りを待つ鍵っ子や、活苦に喘ぐ庭の子供に目をつけ、「もっと良い学にかせてやる」「京で勉させてやる」と甘い言葉で誘いし、施設に禁。 親が抗議に来ても「そんな子は来ていない」とシラを切り、戸籍担当の買収した役を抱き込んで、類その子供を「元の棄児」あるいは「両親」と偽造していたのだ。
そして、子供を欲しがっているアメリカやドイツ、オーストラリアの裕福な庭へ、「支援の国際養子縁組」という美名のもとに斡旋していた。 当、子供をへ送りすごとに、現の貨幣価値にして数百万円から千万円に及ぶ「数料」
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という名の売買代が、神の懐に転がり込んでいた。
神が運営していた双葉育園は、1983に審によって全焼し、そのまま閉鎖されていた。 当の類のくが焼失したとされていたが、警察の執の捜査により、図な証拠隠滅のための放であったことが判。 神自は1995に病していたため法の裁きを受けさせることは叶わなかったが、当を染めていた元職員やブローカーのき残りが次々と割りされ、取り調べによって当の養子縁組リストの断片が復元されていった。
その記録のに、あったのだ。 19788、偽造パスポートによって羽田からアメリカ・サンフランシスコきの航空に乗せられた、ひとりのの記録が。
本名――森 航平。 改竄の戸籍名――棄児・元。 渡米の登録名――ロバート・スティーブン・テイラー。
航平は、売られたのだ。 母をし、母のために円を貯めていた、あの歳ののに。
*
アメリカへ送られた航平――ロバートのがどれほどの獄であったかは、にかされた記録と本の告によって、のるところとなった。
あの、坂の町の入りで、からりてきた神に声をかけられた航平は、こう言われたのだという。 「航平君だね。お母さんから頼まれたんだよ。
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『私はもう貧しくてこの子を育てられないから、京の派な学で勉させてやってほしい』と、泣きながら頼まれたんだ」
航平はその言葉を、最初信じなかった。 だが、神は母親がどれほどで苦労しているか、費を滞納しているか、怪をしても病院にけないかを滔々と語り聞かせた。 「おがお母さんのそばにいたら、お母さんは過労でんでしまうぞ。おがお母さんを助けたいなら、くで派なになって、仕送りをしてあげるのが番の孝なんだ」
母を助けたいだった歳の純粋なは、その残酷な毒によって絡め取られた。 に乗せられ、郊の施設に閉じ込められた航平は、毎晩泣いて「お母ちゃんに会いたい」と叫んだ。 だが、返ってきたのは暴力と酷な罵声だった。 「おは捨てられたんだ。母親はおを売ったんだよ」
戸籍を奪われ、言葉を奪われ、わずかヶには見らぬ夫婦の養子として、太平の向こうへと連れられた。
アメリカ・カリフォルニア州の郊。 しい養父母は、表向きは敬虔なキリスト教徒だったが、言葉の通じないの子供を「れな孤児を救ってやった」という自尊を満たすための具としてしか見ていなかった。 本語を話すことは厳しく禁じられた。 「おの名はロバートだ。
森航平などというは、最初からこの世にいなかったんだ」
学へけば、アジアに対する激しい差別と嘲笑が待っていた。