みかん小説
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"傷だらけの天使" 第3話

に声をかけられて振り返ると、最初に私を診察してくれた子先が、カルテを抱えて歩いてくるところだった。 「もしかして、さっきの診察だけじゃりないことでもあったのかな? 野に引き継いだはずだけど……」 子先配そうに眉をひそめる。私は慌てて、先ほど廊で起きた子供との衝突事故と、野に診察へ連れ戻された経緯を簡単に説した。 「あぁ、そういうことだったんだ。彼女、本当にいい医者だろ? 若いのに丁寧で穏やかでさ、腕も私が保証するよ」 そう言って子先は優しく微笑み、そのままスタスタとっていっていった。 あぁ、なんだか、さっきの野の柔らかな笑顔が、妙にかられないな……。

それから。私はの怪の経過観察と診察のため、再びあの病院にを運んでいた。 医師から「静に」と言い渡され、自宅アパートに引きこもるだけの退屈な活。久しぶりに踏みしめるの世界の空気に、私はわずく息を吸い込んだ。

受付を済ませ、何の気なしに診察と担当医の覧が表示された掲示板へと線を流す。 「……あれ?」 私はわずを止め、掲示板の文字を度見した。 ……マジかよ。

「相馬健太さん、相馬健太さん」 自分の番号が呼ばれるまで、待子に座ってスマホのパズルゲームでを潰していると、診察のドアがき、い名のプレートが目に入った。

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「こんにちは。そこにかけて」 診察では、野が満面の笑みで私を待っていた。 「元々は子先が担当だったとうんだけど、引き継ぎで私が担当することになったの。よろしくね」 「あ、はい……よろしくお願いします」

では、「子先のままでよかったのでは……」といういが渦巻く。しかし、を纏った、自分よりもの超絶美な女医に担当してもらうというのは、どうにも落ち着かないというか、こそばゆいような、照れくささがあった。私は落ち着かないつきでげた。

「この1週変だったでしょ? まともにけないんだから」 「まぁ、で漫画読んだり、昔のDVD見たりして過ごしてました」 「そうなんだ。仕事の方は休めてる?」 「あぁ……はい。バイト先に連絡したから聞こえてきたのは、盛な『ため息』でしたけどね」 「そっか。無理しちゃダメよ。治って、また働く気があったら連絡して、って言われた?」 「いや、『いつ復帰できるか分からないなら、別の奴を入れるしかないだろ』って、たく話を切られちゃいましたよ……」 私の沈んだ表を察したのか、野は真剣な差しで私の目をじっと覗き込んできた。 その穏やかな雰囲気の奥底から、患者のを射抜くような鋭いが放たれる。

活で、何か困っていることはない?」 「怪のせいで、予定していた台のオーディションも受けられないし、バイトも首になりそうだし……々とうまくいかないです。

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俺、役者をやっているんですけど、こんなじゃ何もできなくて……」 「へぇ、役者さん、すごいじゃないですか」 「すごくないですよ。バイトしなきゃべていけない底辺役者なんですから。今度の公演の役も、怪を理由にろされちゃったし……踏んだり蹴ったりです」 「そっか……。主演じゃないにしても、あなたにとってはそれなりにな役だったのね」 野は静かに頷き、私のこれまでの境遇を受け止めるように、じっとを傾けてくれた。

「あ、すみません。初対面なのに、こんな愚痴ばっかり言って……。男の癖に音を吐くなんて、ながらダサいですよね」 「いいのよ。そういう患者のの澱を聞きすのも、私の仕事のうちだとっているから。怪さえしなければ、こんな辛いいをすることもなかったでしょうにね」 その優しい言葉に、私の張りつめていたが、ほんのしだけ軽くなった気がした。

「そうだ。こういうにおすすめの本があるの。し難しい内容かもしれないけど、読んでみる?」 そう言って、彼女はクスクスと楽しそうに笑いながら子からがった。 そして、診察の隅にある踏み台にひょいと乗り、い棚のにある冊の本を取ろうと背伸びをした。

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