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"傷だらけの天使" 第10話

の誇りき医師です」

「なんだと……! あなた、体誰ですか!」 父親が声を荒らげるが、子先じない。 「私はこの病院の部を務める子です。……おが娘さんを縛り付けようとする気持ちも分からないわけではありませんがね、これ以彼女の邪魔をするというなら、病院として法措置も辞さない構えです」

その言葉に、父親と母親は息をのみ、言葉を失った。社会位を何よりもんじる彼らにとって、病院側から「法措置」という言葉を突きつけられるのは、最も恐ろしい脅威だったのだ。

ちゃん」 子先は、優しい目でさんに向き直った。 「実はね、私の友方でしく医療クリニックを業する予定があってね。もしよかったら、その委員を引き継いでくれないか、って話を持ちかけられているんだ。ここをれて、くの所で転、自分の力を試してみるのも悪くないとうがね」

その言葉に、さんは目を見いた。 「方の……クリニックですか?」 「あぁ。ここから幹線を乗り継いでほどのところにある、自然豊かな美しいだ。そこなら、ご両親の目も届かないし、君が本当にやりたかった医療に集できるはずだ」

私はわず声をげた。 「それって……もしかして、俺の元じゃ……?」 「おっ、そうか! 偶然とは恐ろしいものだな、君の元か!」

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子先は豪に笑った。

そのの夜、私たちはさなレストランで祝杯をあげていた。 「健太さん……本当にいいの? 私について、方にっちゃっても……」 さんはワイングラスを傾けながら、そうに私を見つめた。 「当たりだろ。俺も、役者をいったん休止して、元に帰ってからやり直そうって決めたんだから」 「え……役者を、やめるの?」 驚く彼女に、私は優しく微笑みかけた。 「うん。歳という区切りもあったし、何より、目ので悩んでいる切なを守れないような男じゃ、を語る資格なんてないって気づいたんだ。……これからは、俺がを支える。だから、緒に来てくれ」

さんの瞳から、粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。 しかし、それはしみの涙ではなく、で初めてわう、圧倒な幸福と希望に満ちた涙だった。 「……うん! 私、健太さんと緒なら、どこへでもく!」

彼女は私のをしっかりと握りしめ、満面の笑みを浮かべた。

それから半。 すべての準備をえた私とさんは、ついに私の故郷である方のへと移りんでいた。

見送りの京の駅のホームには、子先や病院のスタッフ、そして私の昔からの劇団仲たちが集まってくれていた。 「ちゃん、向こうでも体に気をつけてね!」 「健太、いつでも台に戻ってこいよ!」

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温かい拍と声援に送られ、私たちは幹線の窓からを振った。

――これまで頑張ってこられたのは、あの子先や、仲たちのおかげだ。 もちろん、番の支えは、隣に座るさんのにほかならない。

故郷での活は、京のような慌ただしさはないが、どこまでも広がる青空と、美しい空気に満ちていた。 さんはしいクリニックの院として、域の々から温かく迎え入れられ、毎きと患者と向きっている。私はというと、元の企業に営業マンとして就職し、慣れなスーツ姿で毎汗を流しながらも、充実した々を送っていた。

「ねえ、健太さん」 休の午、リビングのソファでコーヒーをみながら、さんがふっと微笑んだ。 「ん? どうしたの?」 「私ね、今、本当に幸せなの。あの、あの病院の廊であなたにぶつかって……本当によかったって、からってる」 「はは、あのはただの災難かとったけどな。でも、俺も同じ気持ちだよ」

私は彼女の肩をそっと抱き寄せ、窓のに広がる穏やかな景を見つめた。 の崖っぷちで転んだ私を、優しく受け止めてくれた彼女。そして、彼女の凍りついたを溶かした私。 器用なが織りなすしい物語は、この美しいの青空ので、今、しっかりと根をろし、未来へと力く歩み始めているのだった。

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