"見えない星" 第5話
は机のにノートパソコンを広げ、虚偽と誇張に満ちた報告の作成に着した。 はる子の持ちの親切は「職務権限を逸脱した越権為」と記述され、者への細やかないやりは「業務規律を乱す謹慎な態度」と置き換えられた。 さらに文章の末尾には、「複数の現職員から、彼女の勤務態度に対する刻な満の声ががっている」という文言が付けされた。実際には佐藤とのが抱く私怨に過ぎないにもかかわらず、あたかも職全体の共通認識であるかのように偽装したのである。
そうした暗が自らのにち込め始めていることなど、はる子はほどもらなかった。 そのの昼休みも、彼女はいつも通りに田と職員休憩の隅で向かいい、作りの弁当を広げていた。 だが、はる子はふと箸を止め、周囲の様子を窺うように線を泳がせながら、声を潜めて呟いた。
「田さん……最、なんだかの職員の方たちの線が気になるんです」
田は茶の入ったコップを元からし、静かにはる子の目を見つめた。
「線、ですか?」
はる子は困ったように眉尻をげ、指先でお弁当の包みの端を弄んだ。
「はい……私たちがこうして毎仲良くお話ししているのを、周りのたちが変にっているんじゃないかって。
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私のせいで、田さんまで何か言われて嫌ないをされていないか、配で……」
田の胸に、鋭い痛みがった。 何の落ち度もなく、ただ齢の同僚に温かいを差し伸べているだけのこの女性が、なぜ周囲の悪を敏に察し、怯えなければならないのか。組織の腐敗と歪みが、最も無辜なに皺寄せとしてりかかっている現実に、田の奥歯がギリと噛み締められた。
「はる子さん、何も気にする必はありませんよ。私たちは同僚として、そして友として普通に会話を交わしているだけです。ろめたいことなど、何つないではありませんか」
田の穏やかで揺るぎない声に、はる子はほっと息を吐き、微笑みを浮かべた。
「そうですよね……ありがとうございます、田さん」
はる子はしたように箸を再びかし始めたが、その笑顔の底に、拭いきれないさなのが張り付いているのを、田は見逃さなかった。
翌の曜の午、その悪は決定な形をとって炸裂した。 階の客の掃除がけを終えたばかりのはる子のもとへ、黒いスーツを着た事部の課が姿を現した。その表はいつになくく、張っていた。
「田はる子さん。至急、事務まで来てください」
事務な淡さを帯びた呼びしに、はる子の臓がさくねがった。
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「はい……ただいま伺います」
はる子はエプロンをし、を洗ってから、胸の悸を抑えつつ階の事事務へと向かった。 歩きながら、過数週の自分のを必に振り返った。備品を破損した覚えはない。清掃のを抜いたこともない。客からのクレームが入ったという話も聞いていなかった。いくら記憶を探っても、呼びされるような当たりはつも見当たらなかった。
事務のいドアを押しけると、の効いた内の空気が肌を刺した。 央のデスクの向こう側に座る課は、入してきたはる子に対して座るよう促すこともなく、氷のような線をまっすぐに向けた。 その机のには、あらかじめ枚の類が置かれていた。
「これを読みなさい」
課が差し指で用の端を叩いた。 はる子は恐る恐る歩み寄り、震える指先でそのを取りげた。 界にび込んできたのは、太い活字で印字された「契約解除通」という残酷な文字列であった。
「これは……体、どういうことでしょうか……?」
はる子の声がかすれた。を持つ両が刻みに震え、用がカサカサと乾いた音をてる。 課は背もたれにく体を預け、え切った声で淡々と告げた。
「言葉の通りです。から勤しなくていいです」
「から……? 私が、何かな規則違反でも犯したというのですか?」
はる子は必で類から顔をげ、課の目を覗き込んだ。