"見えない星" 第13話
田は勧められたソファに腰をろすと、真剣な差しをはる子に向けた。
「実はね、来、グループとしてまったくしいコンセプトの旗艦ホテルをオープンさせることが決定したのです」
「まあ、素らしいですね」
「そこでだね――そのホテルの総支配として、あなたを推薦したいと考えているのです」
はる子は驚きのあまり目を見き、息を呑んだ。
「私が……総支配ですか……!?」
「そうだ。あなたなら、必ずや素らしいホテルを作りげてくれると信じている。私は、あなたのその澄んだを信じているのだよ」
田の揺るぎない信頼の言葉に、はる子の胸は激しく鳴った。彼女はちがり、くをげた。
「ありがとうございます……! 私の持てる力のすべてを尽くして、精杯務めさせていただきます」
「いや、頑張りすぎる必はありませんよ。これまで通り、あなたらしく自然体でいてくれればいい。その誠実さこそが、あなたの最の武器なのだから」
それからのヶ、はる子はホテルの業準備に奔した。 業務は忙を極めたが、その々に疲労のはなく、充実とびに満ちあふれていた。父親の透析は極めて順調に推移し、母親の関節炎も適切なリハビリによって劇に回復を見せていた。 銭のから完全に解放され、する仕事と仲に囲まれて過ごす毎は、かつて暗の底で泣いていた彼女にとって、のような現実であった。
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そして迎えた、ホテルのオープンから半の、ある穏やかな曜の午。 はる子は、両親をホテルのメインダイニングへと招待していた。 井のい洗練されたレストランで、美しく盛り付けられたコース料理をに運びながら、父親は嘆の声を漏らした。
「本当に派なホテルだねぇ……。はる子がここの責任者だなんて、を見ているようだ」
母親も誇らしそうに目を細めた。
「ええ、本当に派になって……私たちには何もしてあげられなかったのに」
「そんなことないよ。お父さんとお母さんが私をまっすぐに育ててくれたから、今の私があるんだよ」
はる子が微笑みかけたその、フロアの奥から田がゆっくりと歩み寄ってきた。
「これは、田会!」
はる子がちがると、田はでそれを制し、はる子の両親に向かって々とをげた。
「初めまして。田でございます。今はおに、どうしても直接お礼を申しげたくて参りました。このような素らしい、気いを持つ娘さんを育ててくださり、より謝申しげます」
両親は恐縮し、慌ててちがってをげ返した。
「とんでもございません! 娘がどれほどお世話になっているか……」
田は穏やかな笑顔を浮かべ、はる子の顔を見つめた。
「はる子さんのおかげで、私は経営者として最も切な原点を学び直すことができました。
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これからも、彼女にはグループの未来を担う核としていに腕を振るってもらうつもりです」
田の温かい言葉に、両親の目から歓の涙が溢れた。
夕暮れ、はる子は、ホテルのテラスにっていた。 茜から群青へと移り変わる京の空ので、無数のの灯りがのように瞬き始めている。 彼女はのあのたい朝をいしていた。 契約解除通を突きつけられ、事務ので絶望に打ちひしがれていたあの。 しかし、彼女は誠実さを捨てず、を信じるを失わなかった。 には、予期せぬ理尽がちはだかることがある。しかし、その過酷な試練すらも、次に訪れるきな幸福への序章に過ぎないのかもしれない。
「これからも、自分らしく、誠実にきていきます」
夕に向かって静かに誓いをてたはる子の頬を、よい夜が優しく撫でて通り過ぎていった。 部に戻ったはる子は、机のの記帳をき、万で最の文を丁寧にき記した。
『おや位よりも、のが何より切。 田会が教えてくださったこの真理を、私は涯、決して忘れません』
記を閉じたはる子は、窓のの美しい夜空を見げ、く穏やかならぎに包まれながら、というしいを迎えるために静かに瞳を閉じた。