"19年目の妊娠と妻を階段から突き落とした姑" 第9話
「ええ。今朝の超音波検査の結果、胎内の赤ちゃんは無事です。拍もしっかりと確認できました」
佐伯はわずかに表を引き締め、厳しい現実を付け加えた。
「ですが、母体へのい衝撃により、極めて危険な切迫流産の危にあったことは事実です。奇跡に持ちこたえてくれたのですよ」
その言葉を聞いた瞬、ミキの瞳から粒の涙がポロポロとこぼれ落ちた。
「よかった……本当によかった……」
ミキは泣きながら、両でお腹を包み込むようにく抱きしめた。
ミキがこれまで、夫や義母に妊娠の事実を必に隠し続けてきた理由。
それは、義母の異常な悪から、このさな命を物理に守るためだった。
もしも妊娠をられれば、かよがどのような残酷なにるか、像するだけで恐ろしかった。
かつてミキが体調良を訴えた、夫の志はしも寄り添おうとはしなかった。
『母さんは悪気があって言ってるんじゃない。おがで神経質に気にしすぎるからだ』
その酷な言葉によって、ミキはい孤独と絶望の底へと叩き落とされたのだ。
だが、もう怯えて泣き寝入りするだけのは完全に終わった。
ミキは病の袖で涙を拭い、真っ直ぐない差しで佐伯を見げた。
「先、お願いがあります」
佐伯は穏やかに頷き、ミキの言葉を待った。
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「私の怪に関する全てのカルテと診断の記録を、弁護士の藤堂先にお渡しいただけますか」
佐伯は迷いなく力く頷き返した。
「もちろんです。すでにお父様と藤堂先とので、正式な続きがめられています」
も歩み寄り、ミキの震える肩にそっと温かいを置いた。
「もう誰も、あなたや赤ちゃんを傷つけることはできませんからね」
ミキはく息を吸い込み、窓の向こうに広がる澄み切った青空を見つめた。
怯え、耐え忍び、惨めに蔑まれていた過の妻は、もうどこにもいなかった。
方、のリビングでくつろいでいた志のスマートフォンが、けたたましく鳴り響いた。
画面には、登録されていない見らぬ話番号が表示されていた。
「なんだこれ? 面倒くさいな」
志は嫌に舌打ちし、通話ボタンを押さずにそのまま拒否した。
ちょうどその、玄関のインターホンがく鳴り響いた。
「はいはい、今ますよ」
かよが交じりの軽い取りで玄関へと向かった。
郵便受けから取りしたのは、通の分い面だった。
郵便配達員から渡されたのは、赤く印字された内容証郵便だった。
差の欄には、『藤堂法律事務所 弁護士 藤堂恵子』の文字が厳格に印字されていた。
しかし、かよはその文字をまともに確認することすら怪しんだ。
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「どうせあの女の、未練がましいでしょうよ」
かよはで嘲笑い、封筒を封することもなく駄箱のへと乱暴に放り投げた。
彼らは、自分たちの元の面がすでに完全に崩落していることに気づいていなかった。
妻を完全に排除したと信じ込んで疑わない愚かな母子は、すでに包囲網のにいた。
静かに、しかし確実に迫り来る破滅の音は、もうすぐそこまで迫っていた。
個のい井を見つめながら、ミキは静かに過の記憶を辿っていた。
ミキが今まで決してにしなかった、もうつのな秘密。
それは、お腹のに宿ったしい命のだけではなかった。
3ヶ、ミキは毎朝の激しい吐き気と微という体調の異変に気づいた。
誰にも告げず、で隣町の産婦科を訪れた。
診察のモニターに映しされた、さなさな黒の。
結婚して19目にして、ようやく奇跡のように授かることができた命だった。
もしも普通の夫婦であれば、すぐに夫に話をかけ、涙を流して抱きってんだはずだった。
しかし、ミキはその超音波写真を、鞄の奥底くに震えるで隠した。
産婦科へくの夜の来事が、ミキの脳裏に焼き付いていたからだ。
リビングのに脱ぎ捨てられていた、志のスーツを片付けていたのことだった。
内ポケットから、滑り落ちた枚のレシートがあった。
それは、内でも屈指の級ホテル内にあるフレンチレストランの領収だった。