"19年目の妊娠と妻を階段から突き落とした姑" 第14話
「俺は夫だ! 妻に会う法な権利があるはずだ! 直接話せば、ミキだって分かってくれる!」
志が病棟の奥へ無理やりもうとしたその、藤堂が歩にちはだかった。
「あなたに、そのような権利はもう切ありません」
藤堂は類を胸元に構え、酷に宣告した。
「これ以引に奥様にづこうとするならば、今こので警察を呼び、現犯として通報します」
志のが、ピタリと止まった。
員である彼にとって、警察に拘束されることは完全な社会をしていた。
志は力なく、病院のたい壁に背をもたれかけさせた。
「なぜだ……母さんと嫁の喧嘩で、なぜ俺がこんな目に遭わなきゃならないんだ……」
未だに自分を巻き込まれた被害者だとい込んでいる男。
藤堂はその愚鈍さにく軽蔑の目を向け、最の撃を放った。
「奥様があなたから逃げた理由。それは、ご自の命を守るためだけではありません」
志は顔をげ、すがるように藤堂を見つめた。
「どういう……だ……?」
藤堂は憐れむような目を瞬だけ向け、それ以は何も語らなかった。
佐伯と共に、たい音を響かせながら廊の向こうへとっていった。
志は、静まり返った廊に取り残された。
自分の元から、の全てが音をてて崩壊していくのをじながら。
広告
だが志はまだ、最も恐ろしい真実をらなかった。
ミキが命がけで守り抜いた、もうつのを。
そして、自分が永に失ってしまったものの本当のきさを。
病院の駐にめたのに逃げ込むように乗り込み、志は荒い息を吐き散らしていた。
額にはたい脂汗が滲み、ハンドルを握る両は刻みに震えて止まらなかった。
「くそっ……! なんでこんなことに……!」
ただの婚協議だとっていた。
妻がしへそを曲げてをて、実に帰っただけだと。
それがなぜ、警察汰の暴事件にまで発展しているのか。
その、ダッシュボードのでスマートフォンがけたたましく振した。
画面には、のレナの名が表示されていた。
志は救いを求めるように、縋り付くいで通話ボタンを押した。
「レナ! 頼む、聞いてくれ! 今すぐ会えないか!」
誰かに優しく慰めてほしかった。
おは悪くないと、無条件に肯定してほしかった。
しかし、話の向こうから返ってきたのは、氷のように淡な女の声だった。
「ちょっと、どういうことなのよ!」
レナの声には、らかな嫌悪と苛ちが剥きしになっていた。
「内で、もう噂になってるわよ! あなた、自宅待になったんですって!?」
志の臓が、嫌な音をてて凍りついた。
「な、なんでそれを……」
「奥さん側の弁護士から、支や本部に全部通達がったんでしょ! 倫に暴事件って、体何をやらかしたのよ!」
広告
志は必に声を絞りした。
「違うんだ! 全部誤解なんだ! 俺は直接をしていない! すぐに解決するから、しだけ待ってくれ!」
しかし、レナは受話器の向こうで酷にで笑った。
「待てるわけないでしょ! 私まで会社にいられなくなるじゃない! そもそも、奥さんを追いしたらスッキリするって言ったのはあなたよ!」
レナは鳴り散らした。
「こんな沼に巻き込まれるなんて、聞いてないわよ!」
「待ってくれ、レナ! 俺たち、結婚する約束を……!」
「冗談じゃないわ! もう度と連絡してこないで!」
ツコツコという無質な切断音が響き、通話は方に遮断された。
液晶画面が真っ暗に落ち、志は内でを抱えて直した。
との華々しい再婚劇は、脆くも砂ののように崩壊した。
い取りで実へ戻ると、リビングからかよの半狂乱の叫び声が聞こえてきた。
「どうしよう……どうしよう……!」
かよはソファのでを抱え、さく丸まってガタガタと震えていた。
テーブルのには、弁護士から届いた内容証が散乱している。
かよは息子の姿を見るなり、縋り付くように叫んだ。
「志! 警察が来るの!? 私、逮捕されちゃうの!?」
いつもの圧で傲な態度は、微も残っていなかった。
ただ自分ののさに怯える、醜い老の姿がそこにあった。
志の胸の奥底で、ドス黒いりが気に爆発した。