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"19年目の妊娠と妻を階段から突き落とした姑" 第16話

「嘘だろ……ミキはこんなこと、俺には言も……」

「言っても、君は全く信じようとしなかっただろう」

敬語のい声が、志の臓を抉り抜いた。

「君は娘の苦しみを、全て『げさだ』と切り捨ててきた。だから娘は、君に頼ることを完全に諦めたんだよ」

志は喉がカラカラに渇き、言も反論できなかった。

藤堂は徹なつきで、枚の請求面を机のに滑らせた。

「損害賠償の請求額はこちらになります」

そこに印字されていた数字を見て、志は絶望のあまり目を見いた。

員としての退職が全て吹きび、借を背負わなければ払えない巨額の数字だった。

「こんな額……払えるわけがない……!」

「お支払いいただけないは、与や資産を法に差し押さえるだけです」

志は震える唇を噛み締め、を抱えた。

ふと、ミキが残したの言葉が脳裏をよぎった。

『あなたが守らなかったもの。私は守ります』

志は掠れた声で、藤堂に問いかけた。

「教えてください……ミキは体、何を守るって言うんですか……!? 俺は何を失ったんですか……!」

藤堂は類を揃えながら、酷な差しを志に向けた。

「あなたは、本当にまだ何も分かっていないのですね」

藤堂はゆっくりとがり、静かに宣告した。

「奥様がなぜ、厳な警備の病棟へ移らなければならなかったのか。

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あの階段から突き落とされた怪で、なぜ産婦科の管理に入ったのか。しはご自分ので考えてみたらどうですか」

産婦科。その言葉が落ちた瞬志のでバラバラだった記憶の破片が気に繋がり始めた。

、ミキが激しく体調を崩していたこと。

事の匂いを嗅ぐだけで、顔を悪くして洗面所へ駆け込んでいたこと。

かよがそれを「怠けているだけだ」となじり、自分も「疲れてるならく寝ろ」とたく突き放したこと。

そしてあの、階段ので血を流しながら、必にお腹をかばって丸まっていたミキの姿。

「まさか……」

志の顔から、完全に血の気が引いた。

の震えが止まらなくなり、っていられなくなる。

あの、ミキの胎内には、しい命が宿っていたのだ。

誰にも言えず、たったで必が子を守り育てていたのだ。

それなのに、母親は彼女を階段のから突き落とした。

そして自分は、そんな妻を放置し、とホテルで笑い転げていたのだ。

激しい吐き気と悔が、志の胃袋を激しく掻き回した。

「俺は……俺の子供を……」

言葉をそうとした瞬、底なしの絶望志を呑み込んだ。

もはや、父親と名乗る資格など微も残されていなかった。

敬語が最に、氷のようにたく言い放った。

「もう度と、娘のに顔を見せるな。

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娘はしい命と共に、おたちとは違うきる」

志はそのに崩れ落ち、たいに額を擦り付けて号泣した。

しかし、どれほど涙を流そうとも、失われた度と戻らなかった。

法律事務所からの帰り志はどうやって実まで辿り着いたのか全く覚えていなかった。

では、弁護士の告げた事実が鐘のように乱打されていた。

19目にして、ようやく授かった奇跡のような命。

本来であれば、夫婦で抱きって涙を流してぶべき幸せだった。

そのが子を、自分の実の母親が階段から突き落として殺しかけたのだ。

そして自分は、その事実を『げさだ』と嘲笑い、見殺しにしようとした。

志は端の柱にすがりつき、胃液を吐きした。

のドアをけると、かよが血相を変えて駆け寄ってきた。

「遅いわよ、志! 弁護士は何て言ってたの!?」

かよの顔には、反省のなどなく、苛ちだけが浮かんでいた。

「おなんて払わないわよ! 全部あの女の作り話よ! 私を警察に売るなんて、本当に最の嫁ね!」

自分の保しかにない母親の醜悪な姿。

志は初めて、実の母親を化け物を見るような目で見つめた。

志は絞りすような声で、真実を告げた。

「母さん……ミキは、妊娠していたんだよ」

かよのきが、ピタリと止まった。

「あいつのお腹には、俺の子供がいたんだ。

母さんは、自分の孫を階段から突き落としたんだよ!」

その事実を聞けば、母親も過ちに気づいて泣いて崩れるだろうと、志はどこかでっていた。

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