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"19年目の妊娠と妻を階段から突き落とした姑" 第17話

しかし、かよのからした言葉は、志の像を絶するおぞましいものだった。

「妊娠? 本当にあんたの子なの?」

志は自分のを疑った。

かよは平然と言い放ったのだ。

「19もできなかったのに、急におかしいじゃない。どうせ、どこかの男と浮気でもしてできた子を……」

「いい加減にしろ!!」

志の号が、に轟き渡った。

かよはビクッと肩をねさせ、目を丸くして息子の顔を見た。

「母さん! 自分が何を言っているのか分かっているのか!? ミキは俺たちの子供を必に守っていたんだぞ! それをあんたが台無しにしたんだ!」

志はそのにへたり込み、を抱えて激しく嗚咽した。

自分が信じてきた母親など、最初からどこにもしなかった。

ただ自分ののままにならないを憎み、命すら平気で踏みにじる残酷な怪物だったのだ。

ミキは、この怪物と同じ根ので、19も耐え続けていたのだ。

ピーンポーンと、玄関のインターホンが無質に鳴り響いた。

モニターに映しされていたのは、制を着た2名の警察官の姿だった。

かよさん、いらっしゃいますか。先のお嫁さんの怪の件について、署までご同願いたいのですが」

スピーカーから流れる警察官の落ち着いた声に、かよは狂乱して志の腕にしがみついた。

「嫌よ! 志、追い返して頂戴! ただ転んだだけだって言ってよ!」

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志は、すがりつく母親の腕を、たく力任せに振り払った。

「もう終わりだ。母さんは、自分でやったことの責任を取ってくれ」

志は虚ろな目で、玄関のドアをけ放った。

警察官たちが部に入り、かよの腕をしっかりと確保した。

しなさいよ! 私は悪くないわ! あいつが勝に落ちたのよ!」

民たちが騒ぎを聞きつけ、通りに集まってたい線を向けていた。

昼堂々、かよはパトカーの部座席へと押し込められて連されていった。

静まり返ったリビングに、志はただ取り残された。

妻もいない。子供もいない。職も失い、莫な借だけが残された。

テーブルのには、ミキが残したあののコピーが転がっていた。

『あなたが守らなかったもの。私は守ります』

自分が守るべきだったのは、体面でも母親でもなかった。

静かに寄り添ってくれていた妻と、しくまれてくるはずだったが子の未来だった。

志はたいに突っ伏し、獣のように声をげて泣き続けた。

、藤堂法律事務所の会議で、最婚協議がわれた。

志はヨレヨレに皺の寄ったスーツを着て、さく震えながら子に座っていた。

ドアがき、ミキが入ってきた。

その隣には、父の敬語と弁護士の藤堂が付き添っていた。

ミキと顔をわせるのは、あの以来だった。

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志はミキの姿を見て、息を呑んだ。

かつての青く怯え、常に俯いていた妻の姿は、そこには微もなかった。

背筋を凛と伸ばし、真っ直ぐにを見据えている。

その瞳には、静かなさと気品が満ち溢れていた。

志の線は、ミキのゆったりとしたのお腹へと吸い寄せられた。

あので、自分の血を分けた子供がきている。

その事実が、志のに浅ましい希望を抱かせた。

志は突如として子から滑り落ち、に両をついて座した。

「ミキ! 本当にすまなかった! 俺が悪かった! 母さんともあの女とも完全に縁を切った! を入れ替えて、俺が良い父親になるから!」

に額を擦り付ける志を、ミキはえ切った瞳で見ろしていた。

その目には、りも憎しみもなかった。

ただ、端のころを見るような、完全な無関だけがあった。

「顔をげてください、志さん」

ミキのく落ち着いた声が、静まり返った部に落ちた。

志は顔をげ、すがるように妻を見つめた。

「ミキ、俺たちの子供のために……」

「その子の話をしないでください」

ミキの鋭い言が、志の言葉を容赦なく遮断した。

ミキは持参した提げ鞄から、冊の古いノートを取りした。

「私が階段から突き落とされる、のことです」

ミキは静かにノートのページをめくった。

「お義母さんに湯を浴びせられそうになり、私は泣きながらあなたに助けを求める話をかけましたね」

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