みかん小説
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"私の命を八千万円にした夫の末路" 第13話

「……守ってくれて、ありがとうね」

体に呟き、私はく息を吸い込んだ。

胸の奥の、苦しい鉛の塊が、綺麗に溶けっていくような気がした。

たいが、世田の落ち葉を巻きげていた。

の佐伯邸の柱には、裁判所による競売始の公示が、酷に貼りされていた。

百万円の抵当権は使され、は差し押さえられた。 修の会社は事実の破産管財の管理に入り、と修は殺未遂と詐欺未遂の共謀共同正犯として起訴され、拘置所のたい独で公判を待っている。 レナは執猶予がついたものの、夫から即座にくだり半を突きつけられ、残された百万円のカードローンを抱えて破産宣告の続きに追われていると、弁護士から聞いた。

誰もいなくなった

私は、さなスーツケースをつだけ引き、アスファルトの坂っていた。

につけているのは、物だが清潔なコート。 指から結婚指輪はすでにし、ゴミ箱に捨てた。

元に残ったのは、私の名義で細々と貯めていた、パートのわずかなへそくりと、実から送られてきたしの活再建資だけ。

千万円などという血塗られたは、円もに入らなかった。 だが、私の両には、誰にも脅かされない、本当の自由が戻っていた。

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坂の、私鉄のさな駅の改札を抜ける。

ホームに滑り込んできたのは、各駅の普通。 乗客のまばらな内に乗り込み、たいシートにく腰をろした。

ガタゴトと、規則正しい属音が響き、がゆっくりとす。

窓のの景が、しずつろへと流れていく。 見慣れた、息の詰まるような並みが、ざかっていく。

私はバッグから、駅の売で買ったばかりの、まだ温かい包みを取りした。

包みける。 塩むすびがつ。

、かじる。

米の甘みと、シンプルな塩の辛さが、舌のにじんわりと広がっていく。

ただの、百円のおにぎり。

誰かの顔を窺うこともなく。 毒が入っていないかと怯えることもなく。 から美しいとえるものを、自分ので買い、自分の志でべる。

そのあまりの温かさに、私の目尻から、ツッと筋の涙が零れ落ちた。

それは悔しさの涙でも、しみの涙でもなかった。

私はの甲でそれを拭い、もう、ご飯をに運んだ。

の窓の向こう、の切れから、柔らかなが差し込んできていた。

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