"毎月100円を振り込む名医の20年" 第12話
父の息のかかった弁護士が揉み消して、あなたたちが名誉毀損で訴えられるのがオチよ。……あのは、そういう根回しだけは完璧にやる男だから」
「じゃあ、どうしろって言うんだ! このまま黙って、あいつが名誉理事になって拍采を浴びるのを見届言えっていうのか!?」
「来週の曜」
綾乃は息を呑み、言葉を継いだ。
「崎記病院の創周と、父の名誉理事就任を祝うパーティーがある。内のグランドホテルで、域の政財界の鎮も、医師会の幹部も、全員が集まるの。……父は、そこで自分の権力の頂点を誇示するつもりよ」
彼女の唇が、憎悪で微かに歪んだ。
「その所で、終わらせましょう」
「……お、自分の父親を告発する気なのか?」
「父親?」
綾乃は乾いた笑いを漏らした。
「あんなの、父親じゃないわ。、を代わりに仕てげて、毎百円を送りつけてしていたような卑怯者……私の父じゃない。……それに」
彼女の線が、元の汚れた通帳に向けられた。
「私、許せないのよ。あので、母と父がワインをみながら、『あの古回収の男は品性がない』『貧乏の匂いが移る』って笑いっていたことが。……あんな醜い嘘のに成りっていた活を、私はも誇りにっていたなんて……んでもにきれない」
女の怨嗟というものは、に血の繋がりすらも瞬で焼き切る。
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目のにいる綾乃は、もはや私のっている「守られるべきお嬢様」ではなかった。 自らので自分の檻を叩き壊そうとする、の共犯者だった。
「パーティーの当、私は父の控の鍵をけるわ。……あのが過を揉み消すために裏を作っていた当の裏帳簿も、実の庫から探ししてみせる。だから、あなたはお父さんを連れてきて」
「親父を……?」
「ええ。内修さん本が、あの男のにつのよ。番汚れていて、番尊に踏みにじられた、あの軽トラに乗って」
綾乃はそう言い残すと、通帳を拾いげて私に押し戻し、音もなく軽トラをりた。 夜ののへ、彼女の音が消えていく。
内に残された私は、え切ったハンドルを両で握りしめた。
翌朝、。 の空がみ始めた頃、実の引き戸がガラガラといた。
いつもの褪せた作業着を着た父が、荷台のロープを点検するためにてきた。 その顔にはい疲労のが刻まれていたが、瞳の奥は昨夜と変わらず、頑なに閉ざされていた。
私は助席からり、父のにった。
「……拓。お、晩そこにいたのか」
「父さん。これ、見てくれ」
私はスマートフォンを差しした。 画面に表示されていたのは、の付の、元のマイクロフィルムの画像データだった。 け方、内の図館のデジタルアーカイブをネット経由で検索して掘りした記事。
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『内で女子学ひき逃げ 体 現からい国製セダンが逃か 側ミラー破の目撃報』
そして、もう枚。 軽トラのダッシュボードの奥、検証入れの底に眠っていた、の備のき伝票。
『平成預かり 引き渡し スバル・サンバー マフラー亀裂溶接修理式 完』
「父さん」
私は父の目を見据えた。
「事故のあった夜、この軽トラは修理に入ってた。親父がを運転してをねることなんて、物理に能だったんだ。……警察の取り調べで、なんでこの伝票をさなかったんだよ」
父の表が、凍りついた。 聞の画面と、黄ばんだ備伝票の複写を見つめる父の瞳が、激しく揺れる。
「……もう、済んだことや」
「済んでない!」
私は叫んだ。
「綾乃が来たよ。昨夜、ここに」
父が弾かれたように顔をげた。
「あの子は……全部ったよ。崎仁がやったことも、親父が代わりになったことも。……そして、来週の曜の就任パーティーで、あの男の嘘をすべてのに晒すって言ってる」
「馬鹿な真似はやめろ!」
父が鳴った。 これまでので、度も聞いたことのないような、腹の底からの絶叫だった。 父の拳が、軽トラの錆びた荷台を激しく叩いた。 ドォン、という鈍い属音がに霊する。
「あの子に……あの子にそんなことをさせて、何になる! 親の罪を暴いて、自分のを台無しにして……誰が得をするんや! わしが黙っていれば、それで収まる話なんや!」