"じいちゃんの遺言" 第4話
俺は呆れると同に、込みげてくる笑いを必に噛み殺した。 あんな壮絶な体験をした直だというのに、子供の体は正直だ。きようとする本能が、そこにある。
「謝ることじゃねえよ。……腹、減ってんのか?」 俺が尋ねると、2は顔を見わせ、同にコクリと力く頷いた。その仕があまりにもシンクロしていて、俺はわず吹きしそうになった。
「待ってろ。今、なんか作ってやる」
俺はちがり、台所へと向かった。 え切っていた俺の体に、数ヶぶりに「料理」としてのい血が巡り始めるのをじていた。
台所にった俺は、たいでを洗い、蔵庫をけた。 昨、なんとなく買いしにって買っておいた材が目に入る。豚バラ肉のブロック、玉ねぎ、参、じゃがいも。
「カレーでいいか? 辛くないやつ」 俺が居の方へ顔をして聞くと、毛布にくるまった2の目が、パァッとのようにキラキラと輝いた。 「カレー!? カレーでしゅ!」 まるで魔法の言葉でも聞いたかのような、純粋なびの反応だ。 「よし、決まりだ」
俺は腕まくりをし、きく息を吸い込んだ。自分でも驚くほど、が弾んでいた。誰かのために料理を作る。そんな当たりのことが、こんなにも嬉しいなんて。 久しぶりに、料理としての確かなスイッチが入ったのをじた。
トントントントン。
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軽でリズミカルな包丁の音が、静寂に包まれていた古民によく響き渡る。 体に染み付いたシェフの技術は、半包丁を握っていなくても全く錆びついていなかった。玉ねぎを透き通るほどくスライスし、したフライパンへと投入する。 蔵庫から、あらかじめ仕込んでおいたプロ用の飴玉ねぎペーストを取りした。これを使えば、何も煮込んだようないコクと甘みがで引きせる。
ジュワッ! 分がび、玉ねぎの甘が凝縮されていくばしい匂いがちる。 そこに、きめにゴロゴロとカットした豚バラ肉を加え、で気に表面を焼きつける。肉の焼ける力い匂いと、隠しに入れたバターの濃なりが混ざりい、暴力なまでの欲をそそるりが、え切った部に充満していった。
その、居の方から「ゴクリ」と、さな喉を鳴らす音が聞こえた。 気配をじて振り返ると、そこには議でらしい景があった。
台所の入りにある太い黒柱のから、2つのさなが縦に並んで、こちらをじっと覗き込んでいたのだ。 から顔をしているのが紬で、そのに乗っかるようにして顔をしているのが律だろうか。まるでさなトーテムポールだ。
「なんだよ、見学か?」 俺がわざとぶっきらぼうに聞くと、2は「見つかった!」
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というようにビクッとして柱の裏に引っ込もうとした。だが、ち込めるりの誘惑と、何より極限の空腹という本能には勝てなかったらしい。すぐにおずおずと再び顔をした。
「いい匂いでしゅ……」 「魔法のお、作ってるの?」 炒めた具材にを入れ、コトコトと沸騰し始めた鍋を指差して、律が目を丸くして言った。 「ああ、魔法のだ。これをべれば元気がでるぞ」
俺は戸棚をけ、使い込まれたスパイスの瓶をいくつか取りした。クミン、コリアンダー、ターメリック。これは、じいちゃん直伝の配でブレンドされた、俺の宝物とも言える黄の末だ。 さらに、隠しの蜂蜜と、すりおろしたりんごをたっぷりと鍋に投入した。 子供向けの甘に仕げるが、決して甘いだけの子供騙しにはしない。フルーツの優しい甘の奥に、スパイスの複雑なみが眠る本格派だ。
ボコボコッ、コトコト。 鍋が美しく煮える音にわせて、柱のの2のさなも、リズムを取るようにへへと揺れている。 カレールーを溶かし込み、仕げに牛乳をし加えて、をまろやかにえた。
(久しぶりだな。誰かのために飯を作るのは……) そんなことをいながら、俺はい湯気がちる、琥珀のカレーをめの皿に盛り付けた。
テーブルのに、湯気がつ2つのカレー皿を置いた。
さなスプーンを添えて、の入ったコップも用する。 「ほら、え」