みかん小説
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"じいちゃんの遺言" 第10話

ボフッ! 見事な効果音と共に、律が顔からに突っ込んだ。が、空でバタバタと円を描く。 「りっちゃん!」 慌てて助けようとした紬も、元のを取られ、ドサッと律のなるようにして倒れた。 で折りなる、2つのさな塊。まるで、見だいふくがひっくり返ったようだ。 「おい、丈夫か!?」 俺が慌ててスコップを放りして駆け寄ると、から2つの顔がバッとがった。律の顔はまみれで、眉毛が真っになっている。紬のにも、ちょこんとが乗っていた。 2は顔を見わせ、瞬キョトンとした

「あはははは!」 「キャハハハ!」 ケラケラと、弾けるように笑いした。 「たい〜!」 「ゆきちゃ〜ん!」 「りっちゃん、お顔真っ!」 涙がるほど笑い転げ、2をコロコロと転がり回る。その無邪気な笑い声が、モノクロだった俺の静かすぎる世界に、鮮やかな彩りを与えていく。 (たく、仕事にならねえな……) だが議と、全く腹はたなかった。むしろ、このおしい景を、ずっと見ていたいとさえった。 「ほら、邪引くぞ」 俺は2の脇のを入れてヒョイと抱えげ、パンパンとを払ってやった。

「ちばちゃん、ごめんなさい。お役にてなくて……」 律がしょんぼりと肩を落とす。紬も申し訳なさそうにを向く。 「ご飯と、おのお礼したかったの……」

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俺はに膝をつき、2の目線にわせた。そのたくなったさなに、俺のきな温かいなった。 「分だ」 俺が優しく言うと、2議そうに顔をげた。 「おらが笑ってる。それだけで分、役にってるんだよ」 それは、俺の偽らざる本音だった。この笑顔を守れるなら、かきだって、薪割りだって、なんだってできる気がした。

さらに数。 俺が裏の畑の入れから戻ると、台所の方からガタガタ、バタン! と穏な物音が聞こえてきた。 「なんだ?」 のついた靴を脱ぎ捨て、慌てて台所に駆け込むと、そこは目を覆うような戦と化していた。 が爆発したかのように宙をい散り、には卵の殻と黄が散乱している。そのに、まみれになって呆然とする2の姿があった。 「おら……何やってんだ?」 俺の声に、2はビクッとして振り返った。その顔も真っで、まるで幽霊のようだ。 「あ、う……ごめんなちゃい……!」 2は今にも泣きしそうだ。元には、古いノートが広げられていた。じいちゃんの遺したレシピノートだ。それを拾いげると、『特製ハンバーグ』のページがかれていた。

「ちばちゃん、いつも美しいご飯作ってくれるから……私たちがおいしいハンバーグ作ってあげようとって……」 消え入りそうな声で、2が理由を語る。 俺に恩返しをしたくて、でもうまくいかなくて、また迷惑をかけてしまった。

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られる。叩かれる。そのトラウマと罪悪で、2はガタガタと震えていた。

「……馬鹿野郎」 俺がく言うと、2はギュッと目を閉じ、を縮こまらせて防御の姿勢をとった。 俺はため息をつき、まみれの2の脇にを入れた。 「こんない位置にあるボウル、届くわけねえだろ。踏み台使え」 俺は2の体をひょいと抱きげ、流し台ののしっかりした製の踏み台のに乗せた。 「え?」 目をけた2が、きょとんとする。 「ハンバーグだろ? 俺も伝ってやる。その代わり、片付けはしっかり伝えよ」 俺が言うと、2の顔がパァッと太陽のように輝いた。 「うん! やるやる!」 「りっつも! ちばちゃんと緒!」

そこからは、本当の料理教が始まった。 「いいか、肉はたいうちに気にこねるんだ。の体温で脂が溶けちまうからな」 「たーい! でも気持ちいい!」 さなと俺のきなが、ひき肉をこねる。ベタベタする触にキャッキャと騒ぎながら、2懸命に肉と格闘した。 「次は空気抜け。キャッチボールみたいに、両でパンパンやるんだ」 「こう? えいっ!」 ベチャッ!! 勢い余って、肉の塊が俺の顔面にんできた。 「あ、ちばちゃんのお顔……」 「お肉まみれ……」 「おめえらなぁ……」 タオルで顔を拭き取る俺を見て、2はケラケラとお腹を抱えて笑う。買い物から戻った美咲も加わり、いつしか台所は温かい笑い声で溢れていた。

焼きがったハンバーグは、形は格好だが、肉汁たっぷりの自信作だ。

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