"じいちゃんの遺言" 第11話
4で卓を囲んだ。 「わあ、すごい。お料理できるようになったの?」 美咲が驚いて聞く。 「うん! ちばさんに教えてもらったの! ママ、べて! おいちいよ!」 母親がべ、「美しい」と涙ぐんで目を細める。その笑顔を見て、2はハイタッチをしてんだ。 俺もべた。し焦げているし、塩加減もまばらだ。ホテルのレストランなら即座に作り直しを命じるレベルだろう。 だが、のに広がる肉の旨と、何より「誰かのために」といういが、胸の奥をじんわりと温めた。 (じいちゃん。隠しってのは、これのことかよ) 器用な俺にはまだこっぱずかしいが、悪くない……いや、俺ので最のだ。
またあるの夜。呂がりの2が、縁側でを寄せって夜空を見げていた。 「つむちゃん、あのお様、パパでしゅか?」 「きっとそうでしゅ。パパとちがいましょう(違いましょう/お話ししましょう)」 2のさな背が、広な空ので震えているように見えた。どんなに酷い父親でも、彼女たちにとっては血の繋がった父親なのだ。 俺は温かいココアを3つ持って、隣に腰をろした。 「何見てんの?」 俺が聞くと、律が空を指差した。 「パパにね、おやすみってしてたの。パパから、私たち見えてるかな?」 げな2の瞳が、俺を見つめる。その問いかけに、俺はどう答えるべきか迷った。
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優しい嘘をつくのは簡単だ。「見えてるよ」と言ってやればいい。だが、この真っ直ぐな瞳に嘘はつけない。あの男は、決してこの子たちをから見守るようなではない。
「見えてるさ」 俺は空を見げずに、2を真っ直ぐに見て言った。 「あんなくからじゃなく、もっとくで見てる。俺が代わりに、ずっと見ててやるからな」 「え?」 「俺だよ。俺がここで、おらをずっと見てる。絶対におらを守る」 ぶっきらぼうな言い方だったかもしれない。だが、それは俺なりの精杯の約束だった。もう度とは、この子たちに寂しいいはさせないという誓い。 2は顔を見わせ、そして俺の太い腕にギュッとしがみついてきた。 「ちばちゃん、パパみたい」 「あったかい。パパよ」 「俺は、おじさんだ」 憎まれを叩きながらも、俺は2をく抱きしめ返した。たいので、3の体温だけが温かかった。孤独だったが、賑やかで温かいに塗り替えられていく。 (悪くねえな、こういうのも)
それから季節は巡り、に遅いがやってきた。 厳しいがり、柔らかな差しがり注ぐ。根の解けが川となって流れ、岩ののからは、の訪れを告げるふきのとうが顔をしていた。 俺たちは縁側で並んで座り、その穏やかな景を眺めていた。には、美咲が淹れてくれた温かいお茶がある。
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「あのさ、美咲さん」 「はい」 音をてて湯呑みを持ちながら、美咲が首を傾げる。その美しい横顔を見て、俺はゴクリと喉を鳴らした。 包丁やフライパンなら自に扱えるのに、こういうはまるでダメだ。臓がまるで餅つきのように、ドスドスと暴れている。 「その……も溶けたし。これからのことなんだが」 「はい」 美咲の表がしだけ曇った。自分たちは居候の。になればてかなければならないと考えているのだろう。しの、沈黙が落ちる。解けの音だけが、やけにきく聞こえた。
「おと、あいつらがいない活は、もう考えられねえんだ」 俺はを決して、美咲の方を真っ直ぐに向いた。 「俺は器用だし、も悪い。気の利いたサプライズもできねえ。でも……」 言葉に詰まる。やっぱりこういうのは俺には向いていない。でも、絶対に伝えないといけない。この温もりを、放したくないから。 「俺に、おたちを守らせてくれ。俺と、族になってくれないか?」
言い切った瞬、の先までくなるのが分かった。柄にもないことを言った自覚がある。穴があったら入りたい気分だ。 「ふふっ……」 見ると、美咲がポロポロと涙を溢れさせながら、で元を覆って笑っていた。 「やっと言ってくれましたね」 「へ?」 「ずっと待ってたんですよ。千葉さんが、その言葉をくれるのを」
そう言って、美咲は俺の無骨なに、自分のく細いをねた。 温かい。厳しいの寒さを耐え抜いたからこそ分かる、の温かさだ。