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"3ヶ月開けなかった白い封筒と流産した妻" 第20話

啓介も笑った。

「いや、ただ気になっただけだ」

桜はし考えてから言った。

「何度か事にきました。まだ名をつけるような関係ではありません」

啓介は頷いた。

その、駐の方で桜を待っている直の姿が見えた。

の啓介なら、本能を覚えただろう。

だが直くには寄ってこない。

桜と啓介が話しているのを見て、くでただ待っている。

啓介はその姿を見て、議と笑みがこぼれた。

「あのは待てるなんだな」

桜は直瞥してから言った。

「ええ、だから楽なんです」

い答えだった。

だが啓介にはそれで分だった。

彼は突然、桜ので跪くかのようにを屈め、しかし寸で止まった。

桜が驚いた顔で彼を見つめる。

啓介は結局跪くことはなかった。

代わりに、く腰を折った。

「本当にすまなかった」

夫が妻にする謝罪でも、会が誰かに見せるためのパフォーマンスでもなかった。

1が、自分が壊してしまったもう1にする、からの謝罪だった。

しばらくして桜が言った。

「もう顔をげてください」

啓介が体を起こす。

彼の目は赤かったが、桜のを握ることはなかった。

「元気で」

その言葉がから、啓介自が1番驚いていた。

桜はしばらく彼を見つめてから、ごくさく微笑んだ。

「あなたも」

そして2は互いに背を向け、それぞれのへと歩きした。

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ビルのると、の夜気がり注いでいる。

にもたれて待っていたが、桜を見るとげた。

「遅かったじゃないですか」

桜が冗談めかして言った。

「5分ですけど」

「お腹の空いたにとって、5分はいんですよ」

「じゃあ先にべてればよかったのに」

緒にべたかったから、待ってたんです」

桜はその言葉に、ふとを止めた。

待つという言葉。

かつて彼女にとって、その単語は苦痛そのものだった。

毎晩玄関ので啓介を待ち、いつか自分をもう度見てくれるを待ち、が戻ってくるのを待った。

だが、今誰かが待っていてくれることは、彼女を縛る枷ではなかった。

戻らなくてもいい、断ってもいい。

そして緒にきたければ自分ので選ぶことができる、招待だった。

のドアをけながら尋ねた。

「何べましょうか?」

桜はし考えてから笑った。

「私が選びます。いいですね?」

彼女はに乗り込む、空を見げた。

はもうまっている。

啓介がいなくても季節は巡り、あの子を失ったしみも消えはしないが、もはや彼女の毎み込むことはない。

捨てたとっていたしずつ戻ってきた。

桜はもう分かっていた。

誰かに捨てられないために自分を捨てることは、ではなかった。

そして、が終わったからと言って、まで終わるわけではないのだと。

のドアが閉まり、直が笑いながらき先を尋ねた。

桜はを見つめて答えた。

「どこでもいいですよ。今は私のきたいところにきましょう」

はゆっくりと、京の夕へと滑りしていく。

今度はもう誰の妻でも誰のでもない。

桜自が、その先に続いていた。

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