みかん小説
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"「卵も産めない」妻を捨てた夫の11年" 第1話

役所の戸籍課のカウンターに、たいが落ちている。

にした黒のボールペンは、非常に軽い。

それなのに、にはあまりにもい断絶の線を引いていく。

私は婚届の最のページに名いた。

そして、向かいの席の男のにそのを押しやった。

佐藤浩司は、婚届をひったくるようにに取った。

彼は私がいた項目をろくに確認もしない。

龍がい踊るような乱暴な跡で、署名欄に自分の名き殴った。

彼はき終えると、ペンを机に投げつけた。

属製のペンがカウンターにぶつかる。

カシャンという乾いた音がホールに響き渡った。

それは、ひどく障りな音だった。

浩司は私をややかに見据えた。

みさ、これで終わりだ」

彼はスーツのネクタイをし緩めた。

「今から俺たちは何の関係もない。悔するなよ」

彼は隠しきれない得げな表を浮かべる。

「おが自ら望んでていくんだ。これから佐藤はおとは文たりとも関係ないからな」

彼は軽蔑に満ちた差しを私に向けた。

私は職員から渡された婚受理証を受け取った。

ハンドバッグにそれをしまいながら、彼の顔をじっと見つめる。

カウンターの向こうで、職員がつ咳払いをした。

職員は事務調で私たちに告げた。

「おの婚姻関係は、正式に解消されました」

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職員はそれぞれの証を指し示した。

「それぞれの証をなくさないようにお持ちください」

浩司は職員には目もくれなかった。

彼はスーツのポケットからスマートフォンを取りした。

机のでスマートフォンが激しく振する。

画面には親密な名が点滅していた。

彼が通話ボタンを押す。

その声は瞬に優しくなり、媚びるような響きさえ帯びていた。

「もしもし。ハニー、今サインし終わったよ」

彼は嬉しそうに微笑んだ。

「これで俺も自由のだ」

彼は周囲の目も気にせず言葉を続ける。

「君と息子は産ケアホテルで待ってるんだろう?」

彼の声はさらに弾んだ。

「先が今退院できるって言ってたよね。今すぐで迎えにくから」

彼は誇らしげに胸を張った。

「あ、豪華なミニバンはもう用してある。今は盛に帰ろう」

話を切ると、浩司は私を見ろした。

あざけるような笑みを隠そうともしなかった。

「聞いたか?子と息子が今退院するんだ」

彼は勝ち誇ったように言い放つ。

「みさ、おは佐藤夫の座に何も居座っておきながら、卵の1つも産めなかった」

彼の声には酷な響きがあった。

「こんな結末になったのも自業自得だ」

彼はさらに言葉を続ける。

「うちの親も、今夜は別荘でシャンパンをけて祝うと言ってたよ」

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彼は悪く角をげた。

「俺があんたっていう疫病神からやっと解放されたってな」

私は何も言わなかった。

ただ、バッグから自分のスマートフォンを取りした。

浩司は私の沈黙をしみの表れだと勘違いしたらしい。

彼はさらに声で笑った。

「なんだ、今更黙り込むのか?」

彼は私に顔をづけた。

「本当のことを教えてやるよ。うちの親に渡してた32万円の活費は、これからは全部子のものだ」

彼の目には優越が満ちていた。

子は俺に佐藤継ぎを産んでくれたし、おより1万倍も優しくて物分かりがいい」

彼は私をで笑った。

「おはせいぜい、あの頃のアパートで孤独にきていくんだな」

私は彼の言葉を無した。

スマートフォンのロックを解除し、画面を素くスワイプする。

浩司は、私が全く相にしないのでし面らった様子だった。

彼はたくを鳴らした。

「ふん。がりやがって」

彼は踵を返した。

「今更静なふりをしたって、同でもしてもらえるとでもったか?」

彼は背越しに吐き捨てた。

「来世でな」

彼はそのまま背を向けて歩きした。

革靴を滑らかなに鳴らす。

く、そして楽しげなリズムでに向かって歩いていった。

私の指は、プライベートバンクのアプリ画面で止まっていた。

そこは浩司の両親名義の2枚の族カードの限度額を管理するページだった。

5、私の父と浩司の父には旧交があった。

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