"50件のSOSと愛人親子に回した救助車" 第6話
勇気は最初こそ寒いとぐずっていた。
だがが経つにつれて、気なほど静かになっていった。
その沈黙は、幸恵にとってどんな泣き声よりも恐ろしかった。
彼女は息子の肩をのひらでさすった。
「勇気、ママを見て」
彼女は無理にるい声をした。
「しりとりしよっか」
勇気はゆっくりと目をけた。
「ママからどうぞ」
幸恵は微笑んだ。
「ゆきだるま」
「まくら」
勇気が力なく笑った。
幸恵も微笑み返した。
「それは反則じゃない?」
「なんで?」
「ママがらない言葉だから」
瞬だけ、ごく普通の夜のようにじられた。
だが勇気が突然胸を抑え、激しく咳込むと、幸恵の微笑みはすぐに消えった。
彼女は再びスマートフォンをに取った。
画面には武史への発信履歴がい列を作っている。
幸恵はしばらくその名を見つめていたが、また話のボタンを押した。
聞こえてくるのは、やはり源が切れていることを告げる械音声だけだった。
その瞬、彼女は初めてった。
もしかしたら彼は本当に話にられないのではなく、たくないのかもしれないと。
その考えは幸恵を打ちのめすよりも、むしろ彼女を突きかした。
彼女は武史の番号を押すのをやめた。
そして、元の消防の緊急番号に話をかけた。
3度回線が切れ、4度目でようやく繋がった。
幸恵はできる限り静に、所と勇気の容態を説した。
広告
「7歳です。先性の疾患があります」
彼女は息子の胸にを当てながら続けた。
「いものではありませんが、寒さにさらされると危険だとお医者様から言われています。は止まり、もきません」
受話器の向こうの隊員は、申し訳なさそうに説した。
「の複数箇所で両がち往しており、順番に対応しています」
幸恵はすぐに尋ねた。
「先ほどお話ししたの助けい財団の両はどうなりましたか?あのがこのくにいたはずですよね」
キーボードを叩く音がしばらく聞こえた。
隊員の調が先ほどよりくなる。
「確認しましたが、やはり本来の担当エリアを脱した記録が残っています」
幸恵は声を張りげた。
「どこへったんですか?」
隊員は答えた。
「民の施設の方へ向かったようです。現、財団側に詳細を確認しております」
幸恵には理解できなかった。
「こんな候で、どうして救助両が民の施設なんかに……」
相は答えることができなかった。
その、勇気がまた激しく咳き込んだ。
幸恵は急いで通話を終えようとしながら懇願した。
「お願いです、く来てください。もう何もいりません。どうかこの子だけでも先に助けてください」
話を切ると、彼女は自分のダウンジャケットを脱いだ。
そして、さらに勇気に被せた。
広告
もはや自分が寒いという覚さえなかった。
対照に、リゾートのヴィラはが効きすぎているほどかかった。
里奈は窓辺にち、残そうに呟いた。
「でのスキーは無理そうね」
蒼太はソファでタブレットの画にになっている。
武史は秘から送られてきた報告に、けだるそうに目を通していた。
やがて、救助両が到着したというメッセージを確認した。
彼は画面から目をした。
「よし、準備ができたそうだ」
彼が言うと、里奈の顔に堵のが広がった。
「本当にできるのね」
彼女は嬉しそうに言った。
「の状況がこれ以悪くなるに、け方にでも発しましょう」
里奈は息子を見つめながらため息をついた。
「蒼太、怖がりだからここに閉じ込められたらどうしようってずっと配してたのよ」
武史も蒼太の方を見た。
子供は全く怖がっているようには見えなかった。
だが、彼はあえてそれを指摘しなかった。
むしろ自分が誰かを守っているのだという覚は、悪くなかった。
その、秘から話がかかってきた。
「財団本部から両の使用目について確認を求める連絡が入っております」
秘の声は切羽詰まっていた。
「部での救助請が殺到しており、本来の配置に戻すようにと」
武史の表が険しくなる。
「俺が許したと伝えろ」
秘は引きがらなかった。
「ですが、現元の消防からも両の位置について問いわせが来ております」