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"50件のSOSと愛人親子に回した救助車" 第9話

玄関のから誰かが名を呼ぶ声がして、彼女は勇気を抱きしめたままうようにしてドアへと向かった。

をかき分けて入ってきた隊員たちが、2に毛布をかける。

隊員が容態を確認し、指示をした。

「お子さんを先に運びます」

誰かが勇気を連れてこうとすると、幸恵は本能にその体をさなかった。

「私も緒にきます」

隊員は優しく声をかけた。

「お母さんも緒です。だからしてください」

彼女は何度も息子の名を呼びながら、救助用のソリに乗せられた。

病院へ向かう、救急隊員が勇気の状態を確認し続けた。

幸恵は隣で、息子のたいを握り続けた。

「勇気、京に帰ったらたこ焼きべようね。ママが辛くないの買ってあげるから」

返事はない。

彼女は自分に言い聞かせるように呟いた。

「それから、パパにも言ってやろうね。ママが今度こそちゃんと言ってやるから」

その瞬、幸恵は自分がなぜ、最の最まで武史を会話からせないのかを悟った。

それは、8で体に染みついてしまったしい習慣だった。

子供から父親を奪ってはいけないというい込み。

壊れた族でも繋ぎ止めていなければならないという呪いのような信

幸恵は勇気のたいを自分の方に当て、初めての内を囁いた。

「ごめんね、ママ、違ってた」

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病院での待ちは、異様なほど静かだった。

幸恵は救急処置子に座り、濡れた髪を直すこともなかった。

ただ、自分のを見つめていた。

事務員が保護者の報を確認しに来た。

「ご族に連絡するはいないか」と尋ねた。

幸恵は反射に武史の名にしかけて、やめた。

「いません」

事務員はもう1度尋ねた。

「お子さんのお父様には連絡されなくてよろしいですか?」

幸恵はゆっくりと首を横に振った。

「私がもう分すぎるほどしましたから」

どれくらいのが経ったのか分からなかった。

医師が処置からてきた。

彼は慎に言葉を選びながら話し始めた。

幸恵は最初の言を聞いただけで、全てを察した。

医師はげた。

「勇気君は体温症に陥り、元々の臓の状態もなって……ついに回復することはなかったと」

くはなかった。

幸恵は泣きもせず、叫びもしなかった。

彼女はがり、静かに尋ねた。

「あの子に会ってもいいですか?」

それが、彼女が最初に発した言葉だった。

ベッドに横たわる勇気は、まるで眠っているかのようにさかった。

幸恵は息子の髪を優しくえ、たくなったを握った。

「ママがごめんね」

しばらくして、彼女はとてもい声でこう付け加えた。

「もう2度と、誰にも私の名で私を縛り付けさせたりしないから」

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そのの夕方、顧問弁護士の田が病院に到着した。

連絡を受けたのは武史ではなく、救助隊と病院の事務続きを通じてだった。

は幸恵のに座り、しばらく何も言えずにいた。

先にいたのは、幸恵だった。

「田グループのの助けい財団の両運記録ですが、私が請すれば保全することは能でしょうか?」

の質問に、田が顔をげた。

能ですが、理由をお伺いしても?」

幸恵は淡々と答えた。

「勇気が閉じ込められていた区のすぐくにいたはずの救助が、突然リゾート施設に向かったと聞いています」

「リゾートですか?」

「武史さんがっていたかもしれない所です」

の表が険しくなった。

幸恵はポケットから、バッテリーが切れかけたスマートフォンを取りした。

そして、テーブルのに置いた。

画面には、武史にかけた50回以の着信履歴が々しく残っている。

「これも全て保全してください。メッセージも留守番話も、のエンジン認証の請記録も」

彼女は田の目を真っ直ぐに見つめた。

「1つのこらず、消されないように」

はしばらく彼女の顔を見つめていたが、静かに頷いた。

「承いたしました」

すると幸恵は、最にこう言った。

「それから、婚の準備をめてください」

彼女の声は驚くほど落ち着いていた。

「武史さんには、まだ連絡しないでください」

彼女は窓のを見た。

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