"50件のSOSと愛人親子に回した救助車" 第11話
を伸ばせば届く距だが、幸恵はそれに触れようとはしなかった。
1度泣きしてしまえば、何もにつかなくなりそうだった。
田がタブレットの画面をスワイプしながら説する。
「財団の両が本来の待エリアを脱したのは、豪当の午617分」
彼は画面の文字を指差した。
「移許は川専務の指示として記録されています」
幸恵の指がピタリと止まった。
田は続けた。
「秘を介しての指示でしたが、最終な承認は専務の権限で発されたものです」
次の画面には、両の移ルートが表示されていた。
荘からそうくない支援拠点を発した両が、全く逆方向の軽井沢のリゾートへ向かっている。
幸恵はい言葉を発せなかった。
彼女は呟いた。
「あの、消防のが言っていたわ。私たちのすぐくにいたが別の所へ向かったって」
田は頷いた。
「もう1つございます。例のリゾートヴィラの宿泊費と件費の部が、事業部の接待交際費として処理されていました」
幸恵は画面から目をさないまま尋ねた。
「そこに誰が泊まっていたかも分かりますか?」
「法な続きの範囲内で確認します」
「違法な段は望んでいません」
彼女は初めて田の目を真っ直ぐに見た。
「ただ、あのがもう言い逃れのできない確かなものが欲しいんです」
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武史が幸恵の居所を突き止めたのは、そのの夜だった。
マンションの警備員に面会を断られ、駐で粘った。
末に田弁護士に連絡を取り、ようやく10分だけという条件で会う約束を取り付けた。
幸恵がロビーにりてきた、武史は息を呑んだ。
3と比べ、彼女は目に見えて痩せこけ、顔には化粧の気配もなかった。
だが武史を最もにさせたのは、彼女が泣いていないという事実だった。
「幸恵」
彼がづこうとすると、幸恵は歩ずさった。
「そこで話して」
武史はち止まり、問い詰めた。
「どうして俺抜きで葬儀を済ませたんだ」
からた最初の言葉がそれだった。
幸恵の線が、とてもゆっくりとがっていく。
「それが今、あなたが1番最初に聞きたいことなの?」
武史は籠った。
「らなかったんだ。本当にらなかった。留守も聞けなかったし……スマホの源も切っていた」
幸恵はたく言い放った。
「ってるわ。ええ、源を切っていたこともってる」
幸恵はバッグから印刷した通話履歴を取りし、彼のに差しした。
「ここに全部いてある。最初は着信拒否、途からは源オフ」
武史がそのを受け取らないのを見ると、彼女はそれをテーブルのに置いた。
「私は最初、1回だけでいいからてと頼んだ。次はの認証番号だけでも送ってと頼んだ」
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彼女は武史を見据えた。
「その次はせめて、救助の配だけでもしてと頼んだ。最にはただ勇気の声だけでも聞いてあげてと、そう頼んだ」
彼女の声が初めて震えた。
だが涙は流さない。
「川武史。私はあと何回話をかければよかったの?」
武史の唇がいたが、言葉にはならなかった。
幸恵は彼を瞥した。
「50回じゃりなかった?100回かければてくれた?」
武史は子に座ることもできずに、ただち尽くしていた。
「幸恵……俺だって勇気の父親なんだぞ」
その言葉が落ちた瞬、幸恵の表が初めて崩れそうに歪んだ。
彼女は叫んだ。
「その言葉を言わないで。俺だって今にそうなんだ、言わないで」
武史も声を荒げた。
「俺が勇気がぬことを望んだとでもうのか。俺はただ、おがまた俺を束縛しようとしてるんだとっただけだ」
彼は両を広げた。
「仕事が終われば連絡するつもりだったし、帰ったら勇気に産だって買ってやるつもりだったんだ」
その瞬、幸恵がふっと笑った。
あまりにもく、空虚な笑いだった。
「お産……」
武史が言葉を失う。
幸恵は目を細めた。
「あの子があのに欲しかったのは、おもちゃでもおでもなかった」
彼女は拳をく握りしめた。
「パパがたった1度話にてくれることだった」
幸恵は静かに彼を睨みつけた。
「なのにあなたは今も言うのね、らなかったと。
私が普段から配性だったと。結局あなたはまだ、私に原因を探しているのよ」