"50件のSOSと愛人親子に回した救助車" 第12話
武史はすがりつくように言った。
「俺が全部悪かったと言えばいいのか?何でもする。病院に寄付をするでも財団を作るでも、勇気の名で何だって……」
幸恵の顔から、残っていたがすっと消えた。
「あなたは本当に何も分かっていないのね」
彼女はゆっくりと言った。
「何かをおで解決しようと考えるのはもうやめて。勇気はもういないの」
そして婚届を武史の方へ滑らせた。
「私が望むのは1つだけ。ここにサインして」
武史は類を見つめ、首を横に振った。
「今はだめだ。おも正気じゃない。俺もだ。こんな状態で決めたらで悔する」
幸恵は淡々と事実をにした。
「私はこの8を悔している」
彼女は目を伏せた。
「あなたが浮気しているとってからも、勇気のためにずっとしてきたこと」
武史の線が凍りついた。
幸恵は初めて、その事実をはっきりとにしたのだ。
「らなかったとでも?張が嘘だったこともってる」
彼女は顔をげ、彼の目を見た。
「あなたがどこにいたのかも、今調べているところよ」
武史の声がくなった。
「なぜそんなことを調べる?夫の倫だからか」
「違うわ」
幸恵はきっぱりと答えた。
「勇気がんだあの、私たちのくにいるはずだった財団の救助が、軽井沢のリゾートへ向かったの」
武史の顔が張った。
ほんのわずかな変化だったが、幸恵は見逃さなかった。
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「あなたが送ったのね」
武史はすぐには答えなかった。
彼は目をそらし、弁解するように言った。
「里奈とあの子が危険だったかもしれないんだ」
その言で、全てが分だった。
幸恵の瞳が、ややかにを失っていく。
「だから私の子供の元からを奪ったの」
武史は慌てて否定した。
「あのは、おがあそこにいるなんてらなかったんだ」
「だからそれでいいっていうの?」
「そういうじゃない。あのはおの自用じゃなかったんだぞ」
幸恵は子からちがった。
「これからは私に説しないで。記録に説して」
その夜、武史は会社に戻ると、秘を役員に呼びつけた。
ドアが閉まるや否や、彼はく尋ねた。
「あのの両指示記録。誰が閲覧できる?」
秘の顔が張った。
「財団の運営チームと監査です」
「削除は」
秘はしばらく答えなかった。
武史がじっと彼を見つめると、を決したように真っ直ぐな声で言った。
「能です。仮に削除を試みれば、そのログも記録されます」
武史は彼を睨みつけた。
「俺が削除しろと頼んだか」
い沈黙の、秘はUSBメモリではなく、社内規定に従って印刷された類の束を静かにテーブルのに置いた。
「専務、私はあの、あの両が救助支援用であるとはっきりと申しげました」
武史は顔を赤くして鳴った。
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「今になって俺に責任を押し付ける気か。逃れられるつもりは……」
秘は静に遮った。
「ございません。ですが、私の発言と専務のご指示は、全て社内のチャットと通話システムに記録として残っているという事実を申しげているまでです」
秘は度息を呑むと、付け加えた。
「そして本、監査に対し関連資料の保全請が入りました」
武史のが鋭くなった。
「誰からの請だ?」
「川幸恵様の法律代理からです」
その瞬、武史は初めて、幸恵が単なるりやしみでいているのではないという事実を悟った。
彼女は彼のらない所で、着実に彼の逃げを1つずつ塞ぎにかかっていた。
翌朝、田健は幸恵の元へもう1冊のファイルを持ってきた。
表には勇気の名と共に『未成株主資産管理』という文字が記されている。
幸恵は見覚えのある自分の署名を見つけた。
数ヶ、会である義父に呼ばれ、内容もよく読まずにサインした類だった。
彼女は尋ねた。
「これはなぜ今?」
田は慎に答えた。
「勇気君がおくなりになったことで、資産の相続及び議決権の管理続きを確認する必がてきました」
幸恵は驚いた。
「あの子にそんな資産があったんですか?」
田は即座にファイルのページを数枚めくった。
「先代の会がにわたり、お孫さん名義でグループの株式の部を信託という形で管理されていました」