"50件のSOSと愛人親子に回した救助車" 第16話
会議ので、武史派だったはずの役員たちまでが沈黙し始めた。
武史は、自分が権力を握っていると信じていたその瞬瞬に、誰かが残した記録が今、全く逆の方向から自分にを剥いていることをいらされていた。
幸恵は最に、リゾートの経費細を提した。
ヴィラの貸切り料、特別配のスキープライベートレッスン。
そして両の運用費用の部が『パートナー接待及び戦略会議費用』という名目で処理されていた。
議が武史に尋ねた。
「実際に部のパートナーは参加されたのですか?」
武史は顎をくした。
「社内の会議が……」
彼は言葉を濁した。
「個な滞と部混同がありました」
監査委員が即座に指摘した。
「部ではありません。提された宿泊者名簿によれば、専務と里奈様、そしてそのご子息以に、会社の関係者は1もおりませんでした」
武史は苛ちを隠さずに言った。
「その費用は私がで返済すれば済む話でしょう」
その瞬、幸恵が彼を見た。
その言葉があまりにも川武史というそのもので、もはや驚きもしなかった。
「まだ分からないの?」
彼女が尋ねた。
「何をだ」
「あなたはいつもそう。で返せばいいと。おもも、そしてその役員の子でさえ、しの放せばまた元に戻るとってる」
幸恵の声がくなった。
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「勇気はもう戻ってこないのよ」
武史の顔が苦痛に歪んだ。
「幸恵……」
幸恵はもう何も言わなかった。
それで分だった。
会議は1以続いた。
部の取締役は、刑事責任が確定するに承継案そのものをに戻すのはやりすぎだと主張した。
また別の取締役は、公益財団の私流用と経費の正処理は経営者倫理の観点からそれ自体がな欠格事由だと反論した。
武史はそのも、ので表計算をしていた。
従来の自分の支持基盤さえ固めれば、かろうじて承継案は決できるはずだと。
しかし12%という巨な浮票が、幸恵のにはある。
たった今、議はついに最終な採決を宣言した。
幸恵の番が来た、会議はを打ったように静まり返った。
武史は彼女を見た。
数秒、2の線が交錯する。
8の結婚活。勇気がまれた。族写真のの笑顔。繰り返された嘘。
そして、荘に残された50件の着信。
そのすべてがい沈黙のに凝縮されていた。
武史が、ほとんど聞こえないような声で呟いた。
「幸恵、これ以やったら本当に終わりだぞ」
幸恵は瞬だけ、勇気の名が記された議決権の類に目を落とした。
そして、彼を見つめて答えた。
「いいえ。私たちの終わりはもう、とっくに来ていたわ」
彼女は承継案の否決に、その票を投じた。
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採決の結果、武史の次期会案は正式に否決された。
取締役会は彼の主な職務権限を即止した。
の助けい財団の両私流用と経費正処理の経緯について、部の第者委員会による調査を始することを決議した。
必であれば関連証拠を捜査関に提するという報もそこには含まれていた。
武史はしばらく子からけなかった。
会議の々が1、また1と類を片付け始めるのを見て、ようやく彼は幸恵の元へよろよろと歩み寄った。
「満か」
幸恵が顔をげた。
武史は痛な声をした。
「何が俺をこんなにして……勇気のことで、俺だってぬほど苦しんでいるのに、会社まで奪う必があったのか」
幸恵は信じられないという表で彼を見つめた。
とてもゆっくりと、静かに言った。
「私があなたから何を奪ったというの?」
「俺の居所だ」
「その所が、まだ自分のものだと本気でっているの?」
武史は歯をいしばった。
「おは勇気の株を使って、俺に復讐してるだけじゃないか」
その瞬、幸恵の目に初めて燃えるようなりの炎がはっきりと宿った。
「その名を軽々しくにしないで」
彼女は歩、彼にづいた。
「勇気が残してくれた力で私がしたことは、あなたを破滅させることじゃない。あなたがの誰かにも同じことをしないように、そのを塞いだだけよ」
そして背を向けた。
武史は彼女を引き止めることができなかった。