"50件のSOSと愛人親子に回した救助車" 第17話
しかしその、彼を待ち受けていた最の衝撃は、会議のにあった。
武史がエレベーターホールへ向かっていた、1の弁護士が彼を呼び止めた。
その隣には、里奈がっていた。
数ぶりに見る顔だった。
里奈はいつも通りに着飾っていたが、その差しは自然なほど落ち着き払っていた。
武史は彼女を見た途端、りが込みげてきた。
「今まで連絡1本よこさなかったくせに、今更何の用だ」
里奈は答える代わりに、隣の弁護士から類の入った封筒を受け取った。
「私にも、理しなくちゃいけないことがあるから」
武史は眉をひそめた。
「何を理するんだ。リゾートの件はおが仕掛けたことだ。俺はあの救助が財団の所物だなんてらなかったし、会社の経費で処理してくれなんて頼んだ覚えもない」
武史は乾いた笑いを漏らした。
「それで全部、俺1の責任だと?」
里奈は無表のままだった。
武史は彼女に歩詰め寄った。
そして、く押し殺した声で尋ねた。
「蒼太は俺の息子なのか」
周りの空気が凍りついた。
里奈は線をそらす。
武史はもう1度問い質した。
「今度こそはっきり言え。俺の息子なんだな」
里奈はしばらく何も言わなかった。
やがて、その封筒を彼ののに押し付けた。
「違うわ」
武史のが、そのままの形で固まった。
封筒のには、数ヶにすでに実施されていた親子鑑定の結果報告が入っていた。
広告
『父子関係の成を認めず』
たったのい文章。
武史はそのを読んでも、が理解できないのように里奈を見つめた。
「いつからってたんだ」
「最初からよ」
「はっきりと分かってた?だったらなぜ俺に……」
「私が、蒼太があなたの子供だって1度でも言ったことあったかしら」
里奈の声は驚くほど徹だった。
「あなたが勝にそうい込んでただけじゃない。私がそれをあえて否定しなかったのは事実よ」
武史の顔が血の気を失い、真っになった。
ので、に覆われたリゾートの景が蘇る。
里奈が蒼太のマフラーを優しく直していた姿。
自分が救助を呼ぶよう命令した瞬。
スマートフォンの画面を埋め尽くしていた幸恵からの着信。
そして荘でたくなっていく、本当の息子、勇気の姿。
武史のから、鑑定結果のがはらりと落ちた。
里奈は最にこう言い放った。
「あなたがいずれの継者になるだとってたから。私だって自分の将来を考えてたのよ。でももう、あなたの選択の責任まで私が負うつもりはないわ」
彼女が弁護士と共に背を向けてっていくのを、武史は引き止めることさえできなかった。
この瞬、初めて全ての真実が完璧な1つの形となって彼のに現れた。
彼は自分の実の息子が、50回以も助けを求めていた。
広告
その夜、血の繋がりもない子供を守っているという愚かな勘違いので、たった1台の救助を奪い取ったのだ。
武史は壁にをついた。
息がまともにできない。
廊の向こうでエレベーターを待つ幸恵のろ姿を見つめた。
そして、初めて悟った。
自分が失ったものは、会の子などではなかったのだと。
川武史が専務から私物を運びす、窓のの京は皮肉なほど穏やかだった。
取締役会は彼の職務権限を止し、部委員会の監査結果がるまで全ての関連会社の決定から彼をした。
の助けい財団の両問題と経費の正処理に関する資料は、すでに関係関に提されている。
グループ内で彼を次期会と呼ぶ者はもう誰もいなかった。
ほんの数週、秘たちが彼の線にわせてき、役員たちが彼の表を伺っていたこの空。
今、武史はたった1で引きしのを片付けていた。
彼のスマートフォンには、幸恵にかけた話の履歴が際限なく積みがっていた。
最初の10件は弁解するためだった。
次の20件は、会ってくれと懇願するためだった。
それ以は、自分でもなぜ話をかけているのか分からなかった。
あるは夜3に、またあるは勇気の写真を見て衝に番号を押した。
しかし最初の数件以、幸恵の番号から呼びし音が聞こえることは2度となかった。