"3200万円を隠した姑と「養ってやる」の夫" 第3話
それは決して、私が夫や義母に逆らえないいだったからではない。
私は総スーパーの本部で、経理の仕事を続けてきた。
毎が数字との厳しい戦いであり、つのミスも許されない責任があるだ。
職では気を張り詰め、何千万円というおの流れを管理している。
だからこそ、に帰ってまで誰かと争ったり言い負かしたりするエネルギーが残っていなかったのだ。
ただ、波をてたくなかった。
私がししてけば、このは平に回っていくのだと自分に言い聞かせてきた。
の葬儀が終わった直のことを、今でも鮮に覚えている。
広い実でになることを怖がった義母を、夫は半ば引に私たちのへ連れてきた。
その、で座ったこの卓で、私たちははっきりと約束をしたはずだった。
義母は自分の部の掃除と自分の洗濯をすること。
夫はゴミしと呂掃除、休の買い物を担当すること。
私は夕の準備と共部分の掃除をすること。
最初はそのさな約束が守られていた。
しかし、が過ぎた頃からしずつ境界線が曖昧になっていったのだ。
最初は本当に常の些細なことだった。
義母は悪気のない顔で私に言った。
「美さん、洗濯を回すついでに私のも洗ってちょうだい。
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買い物にくなら私の好きなお茶もお願いね」
義母は自分の仕事をしずつ私に載せるようになった。
断るほどのことでもないとい、私が引き受けてしまったのが違いの始まりだった。
夫も同じように、面倒なことを私に押し付けるようになった。
夫は面倒くさそうに私に頼んだ。
「ネットの操作は美の方が慣れてるからやってよ。俺がやると母さんが文句言うから、美がやった方がいだろう」
そう言って、町内会の役員の仕事や義母の通院の配などを全て私に丸投げしてきたのだ。
私はその度にしだけ息を呑み、そしてみ込んだ。
文句を言って険悪な空気になるくらいなら、私がいた方がい。
そうやって自分を納得させ、全てを抱え込んできた。
けれど、そのしの無理はやがて私の常を完全に侵していった。
休の朝、しく眠っていたいとっても、階からわざとらしく器の音をてる義母の気配で目が覚める。
仕事で疲れ果てて帰った夜も、夫はソファで寝転がったまま聞いてくる。
「飯まだ?」
彼らので、私は族ではなく便利な管理者になっていた。
私が無料で文句も言わずにを回すこと。
それがこのの当たりになってしまったのだ。
私はパソコンの画面から目をし、静まり返ったリビングを見渡した。
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に夫とで選び、のローンを組んで買っただ。
いつか穏やかな老を過ごすために、必に働きながら返済を続けてきた。
それなのに、今の私にはこのでからくつろげる所がつもない。
ふと、昨夜の職の景が蘇った。
若い社員たちが私にをげてくれた。
「美さんがいてくれて助かりました」
の世界では、私の仕事には価値があり、私のにはがあった。
私のこなす業務はく評価され、それに見った対価としての与を受け取っている。
しかしこのでは、私はただの無料の労働力でしかない。
徹夜けで帰ってきても、玄関に布団を積まれて洗えと命令されるだ。
私はく息を吸い込み、再びキーボードに向かった。
りに震えることはもうなかった。
次にいたのは、インターネットの検索画面だ。
検索窓に入力したのは「布団クリーニング 集荷」という言葉だった。
内にある専業者のホームページをき、料を確認する。
掛け布団、敷き布団、毛布、それぞれのクリーニング代。
さらにまで取りに来てもらう集荷料を計算して、メモ用にき留めた。
決してい額ではない。
続いて検索したのは「事代 料」という言葉だ。
週に回の夕作り、回りの掃除、用品の買いし。
私が今までついでだからと無料で引き受けてきた労働だ。
プロの業者に頼んだらいくらになるのか。
換算されたその額は、予以に額だった。