"3200万円を隠した姑と「養ってやる」の夫" 第19話
義母は芝居を続ける。
「私が歳にもなって、どうやってこんなおを払えばいいんでしょうか? おまけに布団も洗ってくれなくなって……」
夫叔父はその分担表をに取り、険しい顔で目を通した。
私の両親も、信じられないというような顔で私を見ている。
父が戸惑いながら私に問いかけた。
「美、これは本当なのか?」
私は慌てることもなく、静かに頷いた。
「はい。私が作成して卓に置いたものです」
その私の言葉を聞いて、夫と義母の顔に隠しきれないびのが浮かんだ。
私が事実を認めたことで、自分たちの『異常な妻』というストーリーが完全に証されたとったのだ。
夫は声をにして言った。
「聞いたでしょう! 美は自分がやったことを悪いとすらっていないんです。このままでは母が参ってしまいます」
夫はバッグから枚のを取りした。
私がサインを拒否した、あの婚届だ。
「だから私は、苦渋の決断として婚を提案しました」
夫は私を完全に追い詰めたと確信していた。
「ですが美はこれに応じようとしません。それどころか、私の母の切な老資まで奪おうと、に嫌がらせの話をかけたんです」
叔父の顔にはらかなりが浮かんでいた。
義母はハンカチので、勝利を確信したような笑いを浮かべている。
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彼らは完全に自分たちが勝ったつもりでいた。
私がこので泣き崩れ、親族から非難を浴びていつくばってをていくのだと、信じて疑わない。
夫叔父がお苦しい声で私に告げた。
「美さん。あなたがそんなたいだったとは、私も残だよ」
その言葉に夫はく頷き、私を見ろした。
「もう終わりだ、美。しくサインをしてこのからてけ」
リビングは完全に夫と義母の支配にあった。
私の両親すらどう擁護していいか分からず、ただを向いている。
誰もが、これで私の運命は決まったとっていた。
しかし、私は湯呑みにを伸ばし、だけお茶をんだ。
そしてたく静かな声でこう言った。
「お義母さんの老資と仰いますが、それは本当に千百万円もあったのでしょうか」
その具体な数字がた瞬、夫と義母の肩がビクッとねた。
夫叔父が驚いて義母を見た。
「千百万円……?」
義母は顔を引きつらせ、しどろもどろになった。
「そ、それは親父が残してくれた……」
私は静かに首を横に振った。
「義父のお葬式の、幸さんは皆さんので、実を売ったおは借で消えたと説しましたよね」
夫叔父の目がスッと細くなった。
「ああ、確かにそう聞いた。だから私らも葬儀をし援助したんだが……」
夫叔父の言葉に、夫の顔から血の毛が引いた。
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親族のでついた嘘と現の証言が、ここで完全に矛盾してしまったのだ。
夫は慌てて取り繕おうとした。
「あ、いや。からしだけ残っていたことが分かって……」
私の静かな追及に、夫の額からたい汗が流れ落ちた。
「しだけですか? 千百万円というがから見つかるものですか?」
空気がほんのしだけ変わった。
夫と義母の嘘の壁にさなヒビが入った瞬だ。
しかし、まだ決定な撃ではない。
夫は必に声を張りげ、再び話題を逸らそうとした。
「の問題じゃない! おが母さんを虐待している事実が問題なんだ!」
夫がそう叫んだ、まさにそのだった。
ピンポーン。
静まり返った玄関に、チャイムの音が響き渡った。
夫と義母はビクッと体を震わせた。
夫が苛ちながらちがろうとする。
「誰だ? こんなに」
私はそれをで制した。
「私がけます。私が呼んだ方ですから」
私はゆっくりとちがり、リビングのドアに向かった。
夫と義母の顔に、得体のれない恐怖が浮かび始めている。
この誰もらなかった。
私が玄関に迎え入れたその物が、夫の描いた浅はかな勝利のシナリオを々に打ち砕くであることを。
玄関に向かう私の背に、夫の苛った声が突き刺さる。
「おい、こんな事な話しいの最に、誰を呼んだんだ!」
私は振り返ることなく、玄関の鍵をけた。
にはたいのが吹いていた。
そこにっていたのは、落ち着いたネイビーのスーツを着こなした髪交じりの初老の男性だ。