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"3200万円を隠した姑と「養ってやる」の夫" 第24話

しかし、その言葉はただ空しく響くだけだった。

藤弁護士はたく、計算し尽くされた表で頷いた。

「おっしゃる通りです。ご主の現の貯蓄額では括でお支払いいただくのは難しいでしょう」

弁護士は理然と説した。

「ですからこのの財産分与と相殺するという形を取らせていただきます」

夫の目が信じられないというようにきく見かれた。

「ご主がお持ちの、このの名義の半分。それを慰謝料と解決として全て奥様に譲渡していただきます」

それはつまり、夫はこのに対する全ての権利を失うということだ。

「その代わり、残りの宅ローンについては奥様がご自の収入で全額を引き継がれます」

藤弁護士の説はあまりにも理然としていた。

夫はがり、テーブルをドンと叩いた。

「ふざけるな! 俺がていくっていうのか!」

夫の鳴り声がぶ。

「俺だってしはローンを払ってきたんだぞ! それを全部よこせなんて、盗と同じじゃないか!」

夫のその鳴り声に、ついに私の父ががった。

父の声が、夫の言葉を完全に叩き潰した。

「いい加減にしろ! 幸君!」

父はテーブルのに残されていた、吉川の名がある婚届を指差した。

「君は先ほど、美に無文でていけと言ったじゃないか。

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自分が美を追いそうとしたは、盗だとはわなかったのか」

父のたい軽蔑の目に見つめられ、夫は息を呑んだ。

「君のな言い分は、もう誰にも通用しないんだ。自分のしたことの責任を取りなさい」

夫叔父もく頷いて、父の言葉に同した。

幸、おは親族の面汚しだ。しくその類にサインをして、には荷物をまとめてけ」

親族で番偉いおじさんからの、完全な絶縁宣告だった。

夫は力なく子に崩れ落ち、を抱えた。

もう彼を助けてくれるは、この部には誰もいない。

そのだった。

ずっと泣き崩れていた義母が、ふと顔をげた。

義母のでようやく現の状況が理されたのだろう。

幸がを追いされ、このが全ての美のものになる。

その事実がすることに、義母は気づいてしまったのだ。

義母はすがるような目で私を見た。

義母の声は震えて、枯れていた。

「ま、待ってちょうだい。幸がていくなら、私はどうなるの?」

義母は続ける。

「私も緒にかなきゃいけないの?」

義母の問いに、私は表を変えずに答えた。

「当然です。このは私の単独名義になりますから」

私のからたそのはっきりとした言葉に、義母はきく息を吸い込んだ。

「そ、そんな……私にはくところなんてないわよ!」

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義母はがり、私の席のそばまで歩み寄ってきた。

「お願い美さん、私をこのに残してちょうだい!」

つい数まで、私を精神異常者扱いして追いそうとしていた女の姿だ。

自分のが危うくなった途端、プライドを捨ててすがりついてきた。

義母はあっさりと自分の息子を切り捨てた。

幸とは縁を切ってもいいわ。あんな親孝な息子、もうどうなってもいい」

夫が信じられないという顔で母親を見げたが、義母は瞥もしない。

義母は私の腕を掴み、必に訴えかけた。

「私には百万円があるのよ。そこから毎活費を払うわ。事だって自分でやるわ。自分の洗濯も掃除も、全部自分でやるから」

義母は涙を流しながら、惨めな声で懇願した。

「だからお願い、私を追いさないで!」

私は、私の腕を掴む義母のシワだらけのを、静かに見つめた。

そしてそのを、ゆっくりとしかしい力で振り払った。

私の声は、の空気のようにたく静かに響いた。

「おの問題ではありません」

義母はポカンとけ、私を見げた。

私はややかに告げる。

「お義母さんは、私がなぜあの分担表を作ったのか、まだ理解していませんね」

義母を見つめる。

「私は事という作業が辛かったから、あのを作ったのではありません」

私はリビングの隅にあるキッチンの流し台に目を向けた。

そこには彼らが放置した弁当の空き箱や汚れた皿が、積みになっている。

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