"「3人まとめて連れてけ」と年商1200万円の妻" 第23話
「はい」
かずやは言葉を選んでいるようだった。
「これ学ノートだよな。表に鉛でいてある。おばあちゃんの血圧って」
私は答えた。
「そうです」
かずやが座り込むような音がした。
「なんか見ていいか?」
私は黙った。
かずやが言葉をした。
「ゆいに聞いてください」
かずやは急いで言った。
「いや、もう見た」
かずやはそう言ってすぐに続けた。
「読むぞ」
読む必はないと言うべきだったのかもしれない。
私は言わなかった。
をめくる音がした。
受話器をに当てたまま、私はベランダのに座り込みそうになった。
その音は毎朝台所まで届いていた。
台所から廊の奥へ、鉛をらせる音と緒に。
かずやが読みげた。
「1014、が142、が88。今はが痛いって言ってた」
をめくる音。
「1020、が136、が84。今はお薬んだ」
まためくる。
「112、が128、が79。今は嫌が良かった」
かずやの声がそこで度途切れた。
かずやが私を呼んだ。
「おい」
私は答えた。
「はい」
をめくる音が続けて何度もした。
かずやが震える声で言った。
「これ毎いてあるぞ」
私は目を閉じた。
「はい」
かずやが最の方まで気にめくった音がした。
「1も抜けてない。2分だ」
私は静かに言った。
「そうですか」
かずやが息をんだ。
「そうですかって。お」
かずやの息の音が受話器に入った。
「うちの母さん、この2この子に測ってもらってたのか」
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私は目をけた。
「はい」
かずやの呼吸が浅くなった。
「毎朝腕してたのか」
私はすりを握った。
「はい」
私はかずやに向かってはっきりと言った。
「かずやさん、みよ子さんは測ってもらうたびに、くしなさい、うるさいわねと言っていました」
かずやは答えなかった。
私は言葉を続けた。
「ゆいは毎朝それを聞いてから測っていました」
の音がした。
ベランダののをが通っていった。
かずやが絞りすように言った。
「最のページがある」
かずやが読みげた。
「110っていてある。引っ越しのだ。数字はいてない。1だけ鉛で」
かずやの声が震えた。
「からけないかもしれません。ごめんなさい」
私は唇を噛んだ。
その朝のことはっきり覚えている。
業者が来る、ゆいは自分の荷物のリュックを玄関に置いて、それから居へった。
私はてっきり忘れ物を取りにったのだとっていた。
引きしをけて何かをいて、また閉めた。
それだけのいだった。
ゆいは最の朝、いつも通り測った。
それからけなくなることを謝って引きしに戻しててきた。
10歳の子が、自分をうるさいと呼んだに謝っててきた。
かずやの声が初めて崩れた。
「なんで謝ってんだよ、あの子」
私はたく答えた。
「分かりません」
かずやがノートを閉じる音がした。
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「なんでだよ、母さん。あの子のことうるさいって」
そこでかずやは言葉を止めた。
自分が何を言いかけたかに分気づいたのだとう。
うるさい。
その言葉をにしたのはみよ子だけではない。
あの夜2でそれを言って2で笑った。
やっと静かになるわと。
本当にそうなった。
音の消えたでは誰も血圧を測らない。
誰も薬のケースをけて確かめない。
誰もの入ったコップを黙って置いていかない。
音の消えたでは洗濯も回らない。
ゴミもない。
病院の予約も入らない。
静けさというのはそういうものだ。
音をしていたがいなくなったというだけのしかない。
私がかずやを呼んだ。
「かずやさん」
かずやが々しく答えた。
「なんだよ」
私は指示をした。
「そのノートはゆいのものです。でもいてあるはみよ子さんのものです。病院へ持っていってください」
かずやが黙った。
私は続けた。
「先に、2の10からの記録だと伝えてください。いたのが誰かも伝えていいといます」
かずやが声を詰まらせた。
「言えるかよ。そんなこと」
言えないだろうとった。
このはこの2、母親が誰に腕をしていたかを見ていない。
同じにいて、毎朝廊の奥で械の音がしていたのに。
私の声は自分でも驚くほど静かだった。
「言ってください」
私はすりからをした。
「あの子は21も休まずにきました。誰かがっていていい記録です」