"義母ATM、全財産を失う" 第3話
その線は、母の首元を鋭く射抜いています。
「ええ、夫がに『周忌にはきちんとしたものをにつけなさい』と残してくれた切なおで誂えたんですの。みすぼらしい格好をしては、親族の皆様に恥をかかせてしまいますから」
母は悪びれる様子もなく、自げに指先で真珠をなぞりました。 もちろん、嘘です。 父の闘病、実の計がどれほど逼迫していたかを私はっています。 そんなを父が遺せるはずがありません。
修叔父さんは私と瞬だけ線を交わし、無言のまま奥の座敷へとがっていきました。
読経が終わり、僧侶が引きげた正午過ぎ。 座敷にはを超える親戚同が座になり、仕しの会席膳が全員のに配られました。
「本は皆様、お忙しいお集まりいただき……」
母がお決まりの挨拶を述べようとちがったその、隣に座っていた叔母のひとりが、議そうに座敷を見回してをきました。
「ところで子さん、お嫁さんの麻さんはどうしたの? 姿が見えないけれど」
待ってましたとばかりに、母の表がれみと落胆のに歪みました。
「……お恥ずかしい話なんですけれどね。麻さん、リフォームの準備が変だからって、昨の夕方に実へ帰ってしまわれたのよ」
座敷がざわめきました。
広告
「えっ、実に?」
「周忌の法事だというのに、放りして帰ったっていうの?」
親戚たちのひそひそ声が広がる、母はこれみよがしに涙を拭う仕をしてみせました。
「男の嫁としてし伝ってほしいとお願いしただけなのに、『私の仕事じゃありません』って……。健も嫁の肩ばかり持って、私に鳴り散らしてね。結局、昨夜は私と翔太で、倒れそうになりながら座敷の設えを終わらせたんですのよ」
翔太がここぞとばかりにを挟みました。
「兄貴は京でいい暮らしをしてるから、田舎の母親の苦労なんてにないんですよ。お袋をここまで追い詰めるなんて、としてどうかしてますよ」
親戚たちのややかな線が斉に私に向けられました。 「健くん、それは本当なのか」「嫁の言いなりになって母親を粗末にするなんて」と、責めてるような呟きがに刺さります。
母はうつむきながら、指の隙から私の様子を盗み見て、元にかすかな勝ち誇った笑みを浮かべていました。 周囲を方につけ、私を「酷な孝者」に仕てげる——母が得としてきた完璧なシナリオです。
「……母さん」
私は静かにをき、全員が見通せる座の脇へとちがりました。
「ちょっと健、今は私が親戚の皆様にご挨拶をしている最よ。勝な真似はやめなさい」
広告
母が甲い声で制止しようとします。
「義姉さん、座りなさい。健の話を聞きましょう」
々しい声で空気を断ち切ったのは、座に座る修叔父さんでした。 司法士として、そして本の老としての威厳に満ちた声に、座敷のざわめきがぴたりと止まりました。 母は忌々しそうに唇を噛み、渋々と座布団に戻りました。
「皆様、父の周忌にお集まりいただき、ありがとうございます。ですが、事を始めるに、どうしても皆様に確認していただきたい事実があります」
私は鞄から束のクリアファイルをし、座敷の央へと置きました。 そして、淡々と、しかし全員に届く声で告げました。
「麻は逃げしたのではありません。昨の夕方、このの廊で過労と脱により倒れ、現も病院で点滴を受けています」
「えっ……倒れた!?」
叔母たちが息を呑みました。
「母は麻にの清掃と資材の運びしを命じ、極限まで酷使しました。なぜなら、期をにわせるための現管理費として私が母に渡していたはずのが、すべて消えていたからです」
「な、何を馬鹿なことを! 私はちゃんと業者に払いましたよ!」
母が顔を真っ赤にして叫びました。
「では、これは何ですか?」
私は枚のA4用を掲げました。
それは、リフォーム会社が発した正式な事費用内訳のコピーと、母が私に送ってきた請求の対比表でした。
「私が母の座に振り込んだ壁・内装事費、計650万円。しかし、務が実際に受領したのは480万円です。