みかん小説
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"五十万円の便利妻" 第3話

階段をり、たいが吹き抜ける駅のホームへ向かう。 ベンチに腰をろし、痛む腰を庇いながら提げバッグを膝に乗せると、コートのポケットのでスマートフォンがく震えた。

液晶画面に表示された送り主の名を見て、私は静かに目を細めた。

『愚息は類をしてきたかしら。さあ、計画通りにめましょう』

それは、浩司の実の母親――義母のかず子さんからのメッセージだった。

かつて義父が倒れた際、「介護のりないから」という名目で、浩司によって半ば引に千葉のケアハウスへ隔されるように入居させられていた義母。 息子から「親父の介護費では破産寸だ」と嘘をつかれ続け、面会すら制限されていたかず子さんは、先週、私が持参したすべての記録を見た瞬、仏壇ので声を殺して泣き崩れたのだ。

『由美さん、あの子を許さないで。母親の私が、あの子の息の根を止める伝いをするわ』

の接を告げるアナウンスが、たいに乗ってホームに響き渡る。

浩司はまだ、何もらない。

彼が先、会社に対して「父親の度先医療と葬儀費用の支払いで計が困窮した」と虚偽の申請類を提し、総商社の共済組から密かに引きしていた【300万円の特別族貸付】のを。

そして、そのが消えた先を、私とかず子さんがすでに完璧に突き止めているということを。

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京・にある古い雑居ビルので、私はい息を吐きした。

ドアのプレートには『法律事務所』とさく刻まれている。 部に入ると、テーブルのにはすでに分いクリアファイルと、見慣れた数冊の通帳がと並べられていた。

「よくここまで耐えて記録を残してくれたわね、由美さん」

迎えてくれたのは、義母のかず子さんだった。 髪の混じる髪をきっちりと結い、背筋を伸ばして座るその表には、かつて息子のわがままに泣かされていた々しさは微もない。隣には、義父の代から会社の法務を引き受けてきた顧問弁護士のが、静かに鏡を直しながら控えていた。

「お義母さん、これ……」

私がバッグの底から取りした介護誌とUSBメモリを差しすと、袋をはめたで慎にそれを受け取った。

「浩司さんが会社の共済組から引きした【300万円の特別族貸付】の使途ですが、裏が取れました」

が差ししたのは、枚の細のコピーだった。

「父親の度先医療と葬儀費用という名目で申請されていますが、実際には全額、総商社の営業部に所属する派遣社員――伊藤美穂名義の座へ、にそのまま送されています」

数字が、酷に並んでいる。

3,000,000円。

義父が息を引き取る直、私が病院の会計窓で震えるで千円札を数えていたあのの午、浩司はこの座へからへ流していたのだ。

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さらには、USBメモリから復元された社内チャットツールの画面写真をテーブルに滑らせた。 画面の向こうで交わされていたのは、目を覆いたくなるようなの会話だった。

『美穂、もうしの辛抱だからな。親父がんだら、共済からまとまったを引きせる。それでしいマンションのを払おう』 『でも浩司さん、奥さんは? 怪しまれない?』 『配ないよ。あの女はただの便利な無償の介護員だ。親父のオムツを替えさせて、俺の係の美談作りに利用しただけ。用が済んだら、切れ万でも握らせて追いしてやるからさ』

無償の介護員。 用が済んだら、捨てる。

その活字を目にした瞬、腰の奥がズキリと鋭く疼いた。 痛みをこらえるように両で膝のスカートをく握りしめると、隣から伸びてきたかず子さんのたいが、私の震える拳をから包み込んだ。

「許さないわ。絶対に」

かず子さんの声はく、りで微かに震えていた。

「あの子は、自分が父親の遺産も、会社の位も、すべて自分のい通りにできると信じ込んでいるのよ。父親のすら、女を囲うための具にした……。母親として、あの子の背骨を叩き折ってやる責任があるわ」

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