"余命1年の少年が託した、移植心臓の奇跡" 第4話
診察で、俺はカルテを伏せ、美都さんと真っ直ぐに向きった。
「美都さん。包み隠さず、正直に言います。蓮君の状態は、かなり刻です」
「……はい。の病院でも言われていましたから、分かっています」
美都さんは、膝ので両をく握り締め、暗い顔で俯いた。
「ドナー待とのことですが、いつ見つかるか分からない状況での活は、精神にも肉体にも変でしょう」
俺が気遣うと、美都さんはしだけ顔をげ、ぽつりぽつりと話し始めた。
「はい……。私、今はコンビニの夜勤と、の清掃の仕事を掛け持ちしてるんです。蓮の医療費と、の活費を稼ぐだけでギリギリで……」
美都さんの膝に置かれたは、仕事と過労でひどく荒れ、あかぎれができていた。
「両親はもうくなっていていないし、頼れる親戚もいなくて。私で、なんとかするしかないんです」
「蓮君のお父さんは……?」
俺が慎に尋ねると、美都さんは痛な表で目を伏せた。
「蓮のお父さんは……夫は、蓮が3歳のに、をてきました」
美都さんの声が、微かに震える。
「夫は、蓮のい病気を受け入れられなかったんです。先性の病気だと分かった、『自分の遺伝のせいだ』って、ずっと自分を責めて、酒に逃げるようになって……。最は、精神に追い詰められて、私たちを置いて逃げるようにをていきました」
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「そんな……」
俺は言葉を失った。が子の病気から逃げる父親がいるなんて。
「それからの5、私で蓮を育ててきました。でも……いつもで。いつ容態が急変するかもしれないあの子を、私で守り切れるのか。毎、朝起きるたびに、蓮が息をしているか確認するのが怖くて……」
その言葉には、誰にも理解されないい孤独と、絶望な圧が込められていた。俺が何と声をかけるべきか迷っていると、診察のドアの向こうから、蓮君の声が聞こえた。
「ママ、丈夫だよ。僕、頑張ってるから」
ドアがしだけき、蓮君がひょっこりと顔を覗かせていた。待にいるように言ったが、母親の様子が気になって来てしまったのだろう。
「ママが泣いてると、僕、すごくしいよ。だから、笑って」
蓮君は、青い顔で精杯の笑顔を作って見せた。母親を配させまいと、こんなにさな子が必に気丈に振るっているのだ。その姿に、俺の胸は締め付けられるように痛んだ。
「蓮……ごめんね。ママ、泣いてないよ」
美都さんは慌てて袖で涙を拭い、笑顔を作った。
「うん。ママはいつもお仕事頑張ってるもん。僕も、病気なんかに負けないで頑張るから」
蓮君はそう言って、またパタパタと音をてて待に戻っていった。 そのさなろ姿を見送った、俺はつの確固たる決を胸に、美都さんに向き直った。
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「美都さん。俺に、協力させてください」
「え……?」
「蓮君は、俺の切な息子の命を救ってくれたです。その恩を、俺の持てる全ての力を使って返させてください」
「でも……私たち、先にこれ以ご迷惑をかけるわけには……」
美都さんが慮して首を振るのを、俺はい調で遮った。
「迷惑じゃありません。俺は臓科医として、そして……同じく子供を持つ1の父親として、蓮君を絶対に助けたいんです」
俺のい志に触れても、美都さんはまだそうに俯いたままだった。
「私……を信じるのが、怖いんです」
「怖い……?」
「夫に突然裏切られて、見捨てられて。それから、誰にも頼れなくなって……。もし、先に優しくされて、それに頼ってしまったら。またいつか、裏切られて見捨てられるんじゃないかって……」
美都さんの声は、恐怖に震えていた。
「もし、また誰かに期待して、しでも希望を持って、そのでまた裏切られたら。私、今度こそが壊れて、もう度とち直れないかもしれない……」
その言葉が、俺の胸にく、痛いほど刺さった。彼女が抱えている傷は、像以にく、たいものだったのだ。
「美都さん。俺は、絶対に逃げません」
俺はを乗りし、彼女の目を真っ直ぐに見つめた。
「俺も……妻を失った、世界が崩れ落ちるようないをして、誰かを信じたり、したりすることが怖くなりました。
でも、蓮君と太が笑いっているのを見て、ったんです。