"余命1年の少年が託した、移植心臓の奇跡" 第6話
「だって……僕、ずっと病院のベッドにいるし、で友達とも遊べない。窓から、みんなが楽しそうにってるのを見ると、『あぁ、僕だけみんなと違うんだ。いつかんじゃうんだ』ってうんだもん」
蓮君の目には、粒の涙が溢れ、ポロポロとズボンを濡らしていた。
「蓮……ごめんね。ママが、いから……。健康に産んであげられなくて、ごめんね……」
美都さんもたまらず泣き崩れ、蓮君を抱きしめて涙を流した。 支援の制度をえても、結局のところ、臓移植のドナーが見つからなければ、根本に蓮君の命を救うことはできない。その残酷で絶望な事実が、たい空気となって部全体をく包み込んだ。
俺は拳を握りしめ、どうすればいいのか分からなくなった。 どうすれば、この絶望した子たちに、もう度きる希望を持ってもらえるんだ? 俺は医師として、メスを握りくの命を救ってきた。だが、病気によって傷つき、閉ざされてしまった『』まで救いげることは、こんなにも難しいことなのか。
その、苦しい空気を切り裂くように、待の方から元気な声が聞こえてきた。
「蓮くーん!」
勢いよく診察のドアがき、息子の太がリュックを背負ってび込んできたのだ。保育園の帰りに、俺の母に連れられて病院に来ていたらしい。
「太? どうしたんだ?」
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俺が驚いて尋ねるもなく、太は泣いている蓮君のにタタタッと駆け寄った。
「パパ、蓮君に会いに来たよ! 蓮君、緒に遊ぼうよ!」
太の無邪気な声に、蓮君は涙を拭いながら戸惑った表を見せた。
「え、でも僕……病気だし、れないし……」
「れなくたっていいよ! これ、このね、パパが買ってくれたゲームがあるんだ。2で対戦できるやつ! 緒にやろうよ!」
太はリュックから携帯ゲームを取りし、満面の笑みで蓮君に見せた。
「蓮君、僕の『友達』だもん! 友達と遊ぶの、すごく楽しいよ!」
蓮君は、『友達』という言葉を聞いて、ハッとしたように目を丸くした。
「……友達?」
「うん! 僕、蓮君とお友達になりたいんだ!」
太が迷いなくそう言うと、蓮君の張っていた表が、の解けのようにしだけふわりと緩んだ。
「……ありがとう、太君」
「やった! じゃあ、今度緒に通信して遊ぼうね!」
太の底抜けのるさと無邪気さが、部にち込めていた暗い空気を瞬にして吹きばした。美都さんも、涙を拭いながらしだけホッとしたような笑顔を見せた。
「太君……ありがとう」
俺の息子の純粋な優しさが、絶望に沈んでいたこの親子に、さな、しかし確かな希望のを与えてくれた瞬だった。
数。蓮君が、本格な治療と定期検査のために、俺の病院に入院することになった。
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休の午、俺は約束通り太を連れて、児科病棟にある蓮君の病を尋ねた。
「蓮くーん!」
太は病に入ると、パジャマ姿でベッドに座っている蓮君のもとへ直線に駆け寄った。
「太君! 来てくれたんだ!」
蓮君は、顔はまだ悪いものの、嬉しそうに目を輝かせて々しいながらも笑顔を見せた。
「うん! 約束したもん。緒にゲームして遊ぼうって!」
太は得げにリュックからゲームを2台取りした。
「これ、パパがもう1個買ってくれたんだ。2で通信してできるゲームだよ!」
「えっ、本当に僕もやっていいの?」
「もちろん! 友達だもん!」
は並んでベッドに腰掛け、を突きわせてゲームを始めた。
「よし、僕がやり方教えてあげる。ここのボタンを押すと、キャラクターがジャンプできるんだよ」
「すごい! こうやってかすんだね」
蓮君は、最初は慣れない付きでコントローラーを操作していたが、すぐにコツを掴んだ。
「そうそう! うまいじゃん、蓮君!」
「本当? えへへ」
「うん! もっと対戦やろうよ!」
ゲームの子音に混じって、の無邪気な笑い声が静かな病に響き渡った。 美都さんと俺は、その微笑ましい景を廊からガラス越しに見守っていた。
「あの子が……あんなに楽しそうに声をして笑うなんて」
美都さんは、信じられないものを見るように目を潤ませた。
「太も、蓮君と緒にいるといつもよりお兄ちゃんぶって、嬉しそうですよ」
「太君は、本当に優しい子ですね。先の育て方が良いんでしょうね」