"余命1年の少年が託した、移植心臓の奇跡" 第15話
読み終えたレンの瞳から、筋の涙が頬を伝って落ちた。 それを、美都さんが駆け寄るようにしてく、く抱きしめた。 「バカね……よく頑張ったわね、レン……」 「うん……ありがと、ママ」
私はの背にそっとを添え、それから顔をげて、窓のの桜のを見た。 が吹き抜け、や昨と同じように、のびらが空をう。
は、に理尽で、切なものを奪っていく。 けれど、傷だらけので差し伸べった温もりは、消えることなく未来へ続くになる。
私はレンの肩を軽く叩き、笑いかけた。 「さあ、お腹すいたろ。今はグラタンだ、美都の特製だな」 「もう、健太郎さん……私、まだ泣き笑いなんだから」
4の笑い声が、の午を包み込むように響いた。 臓の鼓はいつだって、私たちがここにきていることの、最も美しい証だった。
それからのが流れた。
のが、リビングのきな窓を柔らかく染める。サイドボードのには、族4の笑顔の写真に並んで、しいフレームが置かれていた。そこには、国学医学部の格通を胸に、し誇らしげに、しかしどこか照れくさそうに微笑むレンの姿があった。
活の3、レンはサッカー部のレギュラーとしてグラウンドを縦横無尽に駆け抜け、定期検診のたびに私の予測を超えるような肺活量と肺能を見せつけてくれた。
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移植されたしい臓は、もはや「異物」ではなく、最初から彼の血肉であったかのように完全に同化し、青の汗と量を余すところなく吸収し続けていた。
格発表の夜。 リビングの卓袱台を囲んだあと、レンは真っ直ぐに私を見た。その瞳には、あの池の縁で「使になる」と零したのは微もなく、を帯びたい志のが宿っていた。
「パパ……格した。児臓科医になる。パパみたいに、絶対に諦めないで、さな命の音をもう度鳴らせる医者になる」
その言葉を聞いた瞬、私は自分ののポケットので、わず拳をく握り締めた。 医者として、これほどの誇りと救いがあるだろうか。 自分が救った命が、今度は別の誰かを救うためのとして歩きす。命のバトンが、温かな血の通ったからへと、真っ直ぐに受け継がれていく瞬だった。
「……頼もしいな」 私は声の震えを隠すように、の肩幅へと成したレンの肩を軽く叩いた。 「でも、甘く見るなよ。医学の勉も実習も、獄のように厳しいぞ」 「ってるよ! パパのスパルタも、全部覚悟のだから!」 レンは歯を見せて笑い、隣で美都さんが目を赤くしながらハンカチーフでそっと目を押さえた。
キッチンから漂うのは、今夜の格祝いの匂い――じゅわっと焼けるハンバーグのデミグラスソースと、ばしいガーリックトーストのりだ。
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になった太が、し背伸びをしながら皿を運んでいる。 「兄ちゃん、マジで医者になるの? すげえな……。じゃあ俺、将来病したら番乗りで兄ちゃんの病院に入院してやるよ」 「おが来るときは、せめてすり傷とか邪の軽い症状にしてくれ。病は絶対するな」 「当たりだろ!」
ののない軽が、リビングの空気を優しく揺らす。
私は、リビングの隅に置かれたさな棚に目をやった。 あの、ボロボロになってラミネートされた「やりたいことリスト」のノート。 最のページには、レン自のきれいになった文字で、こう力くき加えられている。 『誰かの朝を、もう度迎える伝いをする』
美都さんが私の隣にそっと寄り添い、その肩に自分のを預けた。 窓のでは、満の桜のがに揺れ、のびらがい、いと青空へいがっていく。
失った傷みは消えない。桜の記憶も、夫にられた絶望も、消えることはない。 けれど、その傷から芽吹いた絆は、どんな嵐のでも折れることはない、靭なになっていた。
トクン、トクン。 4の胸の奥で、それぞれの臓が、かけがえのない同じリズムのを乗せて、未来へと力く脈打っていた。
さらに数のが流れ、医学部を卒業し初期研修をくぐり抜けたレンは、ついに憧れの「児臓血管科」