"5足の男物スリッパと偽装不倫の罠" 第21話
「めるにどうぞ」
私はカップの縁に線を落とした。
く揺れる液体に、わずかない濁りが見えた。
私はを引いた。
「ここでいただきます」
のり子はしだけ眉をかした。
「せっかく持ってきたのに」
私は繰り返した。
「今は、お話を優先します」
マリカはカップを自分の方へ戻した。
そのきは自然に見えたが、指先にい力が入っていた。
マリカが探るように尋ねた。
「兄さんは、今は帰ってこないの?」
私はく答えた。
「仕事です」
本当はすぐくにいる。
その事実をられないことが、今は何より必だった。
のり子は部のをキョロキョロと見回した。
仕事部の扉は閉じたままだった。
彼女は何気なく言った。
「し、部を見せてもらえないかしら」
私は即座に答えた。
「今はお断りします」
私の声は、よりもはっきりと力かった。
「話だけのはずでした」
のり子は子の背にを置いた。
「何も隠すことはないでしょう」
私は線をそらさなかった。
「隠すものがあるかどうかは、私が決めます」
マリカがちがりかけた。
そのきを、のり子がで軽く止めた。
2のに、さな図のようなやり取りがあった。
その、玄関のカメラの通音がさく鳴った。
私は顔をあげた。
スマートフォンの画面には、のにつ男たちの姿が映っていた。
数は5だった。
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彼らはのを覗くように、玄関の方へ線を向けていた。
誰も呼び鈴を押さなかった。
ただ、で待っていた。
私は机ので、録音の位置を確かめた。
そして、ゆっくりと息をえた。
ここまで来て、逃げるだけでは終わらない。
彼女たちが何をしようとしているのかを、はっきりさせる段階に入っていた。
玄関の画面には、5の男たちが映っていた。
齢も装もバラバラで、どう見ても親戚には見えなかった。
1は携帯話を見ながら、の表札を確かめていた。
私は居の机ので、録音のさな赤いランプを確認した。
そして裕介へ、決めていたい文を送った。
『今、5来ました。には入れません』
すぐに既読がついた。
返事は来なかった。それでよかった。
のり子は私の表を読もうとしていた。
のり子が聞いた。
「どなたか来たの?」
私は画面を伏せずに答えた。
「らない男性が、5のにいます」
マリカの肩がさくいた。
のり子はすぐに笑いを作った。
「所の方じゃないかしら。事のとか、何かの勧誘とか」
私は言った。
「呼び鈴も押さずに、5で玄関を見ています」
のり子は湯呑みを持ちげた。
しかし、には運ばなかった。
「最は物騒ね。だからあなたもくんで、落ち着いた方がいいわ」
その言葉で、私のの迷いが段消えた。
見らぬ男たちより先に、私を眠らせたい。
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のり子の関は、そこに向いていたのだ。
マリカがちがった。
「私、玄関を見てくる」
私はい声で止めた。
「座ってください」
マリカは私を睨んだ。
「自分のみたいに命令しないで」
私はきっぱりと言った。
「ここは私のでもあります。そして今、らないを入れるつもりはありません」
のり子は子からしを乗りした。
「げさにしないでちょうだい。し話を聞くだけでしょう」
し話を聞くだけ。
その言い方は、玄関の5をすでにっているのものだった。
私が尋ねた。
「お義母さんは、あの方たちをごなんですね」
のり子は目を伏せた。
「らないわよ。ただ、来たを玄関先で追い返すのは失礼だと言っているの」
マリカは携帯話を握り、画面へ親指をらせた。
私は何も言わず、そのきを見た。
数秒、玄関の男の1が携帯話を見た。
それから、の4へ何かを打ちして伝えた。
私は静かに呼んだ。
「マリカさん」
マリカの顔から血の気が引いた。
「今、の方へ何を送りましたか?」
マリカは慌てた。
「何も送ってません」
私は言った。
「なら、画面を見せてください」
のり子が割って入った。
「族でもそこまでする権利はないでしょう」
私は語気をめた。
「族だからこそ説してください。なぜお話だけのに、5の男性が来るのですか?」
居の空気が張り詰め、くなった。
ミルクティーのカップだけが、机のでぬるくなっていった。
その、の男が初めて呼び鈴を押した。