"5足の男物スリッパと偽装不倫の罠" 第27話
のり子は親戚へ向き直った。
「皆さん誤解しないでください。私はただ、息子のために……」
正尾さんが、ゆっくりと湯呑みを置いた。
「息子のために、嫁さんを眠らせる話になるのか」
のり子の顔がこわばった。
その言は、どんな鳴り声よりかった。
のり子は弁解した。
「そんなつもりでは……」
きよこさんの声は、姉としてのを残しながらもたかった。
「なら、何のつもりだったの?」
のり子はマリカへ目を向けた。
「この子が、咲さんの態度に困っていたから……」
マリカは顔をあげた。
「お母さん、まだ私のせいにするの」
そので、親子の醜い論が始まりかけた。
警察官が、2へ別々に話を聞くと告げた。
救急の確認を受けたマリカは、きな異常は見られなかった。
それでも眠気が残るため、病院で診てもらうよう勧められた。
裕介は救急を呼ぶか確認し、必なら自分が付き添うと言った。
マリカはさく首を振った。
「兄さんじゃなくていい。お母さんとも、今は緒にいたくない」
その言葉に、のり子が息をんだ。
娘まで自分かられるとは、全く考えていなかったのだろう。
きよこさんがマリカを病院へ連れてくことになった。
親戚の1も付き添った。
のり子はそれを止めようとした。
「マリカは私の娘です」
きよこさんははっきりと言った。
「今はあなたのそばに置けない」
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のり子はそので何も返せなかった。
族を支配するために使ってきた『母親』というが、初めて彼女を守らなかった。
午、警察で改めて事を聞かれることになった。
私と裕介は、録音と映像の保データを提した。
5のスリッパと内履きについても、購入したで確認できることを伝えた。
警察官は説した。
「み物の成分確認にはがかかります」
今すぐ全てが決まるわけではない。
それでも、相談の記録ははっきりと次の段階へんでいた。
帰宅したのは、夕方くになってからだった。
のには、まだ親戚たちの跡がく残っていた。
玄関に入ると、5のスリッパの箱が界に入った。
『来客用』という字が、今はひどく々しく見えた。
裕介は箱にを伸ばしかけて、私を見た。
「片付けてもいいか?」
私はし考えた。
「まだ証拠として、保管しておこう」
彼は頷いた。
昔のように、自分の判断で見えない所へしまうことはしなかった。
翌、吉田先の事務所で今の対応を相談した。
先は、のり子へ連絡や訪問を控えるよう正式な通をす準備を始めた。
「この通で相が必ず従うとは限りません。ただ、こちらが拒否のを確に示した記録になります」
私は淡々と説を聞いた。
きな勝利の瞬などなかった。
を揃え、記録を残し、「これ以づかないで欲しい」
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と示すだけだった。
けれど、その1つ1つが私を守っている。
鳴り返すよりもずっと、確かな触りがあった。
裕介は、母親と妹の荷物をから返す方法も相談した。
玄関に残されたもの。
マリカが置いてった私物。
のり子が勝にしまった台所用品。
吉田先は言った。
「ち会いのもとで返しましょう。のへ入れず、玄関先か別の所で受け渡す形が良いです」
裕介はすぐに同した。
母親に会わせて謝らせたいとは、言も言わなかった。
私はその変化を、静かに受け止めた。
謝罪のを作られることも、私には負担になる。
彼がそれを分かろうとしていることだけは伝わった。
数、み物の成分について連絡があった。
詳しいことは続きので確認されるが、眠気をくする成分が検されたという。
私は話を切った、く窓のを見ていた。
像ではなかったのだ。
私の違は、私を守るために働いていた。
その夜、のり子から何度も連絡が来た。
『族なのに1度だけ話をさせて』
『私は息子を守ろうとしただけ』
裕介は1度だけ文章で返した。
『守ろうとしたのではありません。咲を傷つけようとしたのです。今は弁護士を通してください』
それ以、彼は返事をしなかった。
のり子の切にしていた親子の繋がりは、切られたのではない。
彼女自ので、届かない所へ追いやられたのだ。
親戚のでも話は広がった。
きよこさんは必以に言いふらさなかった。