"雑炊を疑った息子とノロ陽性の判定" 第3話
「千さんのおかげで、うちのセンターは毒ゼロ記録を更ですよ。」
退職の、若い栄養士が涙ぐみながらそう言ってくれた言葉は、私の何よりの誇りでした。
材のわずかな匂いの変化。
保温度の1度のズレ。
調理器具のかすかな曇り。
それらを見逃さない厳しい目を、私は現で培ってきました。
だからこそ、健太の母さんのせいだという言葉は、私のそのものを否定されたように痛かったのです。
私は居に座り、仏壇の夫の写真を見げました。
「お父さん。」
私は静かに語りかけました。
「健太もすっかり親になったわね。」
写真の夫は微笑んでいるだけです。
「でも、まだまだ子どもみたいにで困るわ。」
声にして呟くと、しだけ涙がそうになりました。
健太は昔から、何か問題が起きると番なところに原因を求めてる癖がありました。
今回のことも同じです。
妻が苦しんでいる、その原因を探さなければならない。
そして番っ取りい原因として、私が持ち込んだ作りの雑炊が選ばれたのです。
私は美咲さんのことを嫌いなわけではありません。
むしろよくできたお嫁さんだとっていました。
役所で働きながら事もこなし、健太を支えてくれている。
ただ彼女はし几帳ますぎるところがあり、私のような昔ののやり方をのどこかで見しているような節がありました。
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結婚当初、私が作りの煮物をタッパーに詰めて持っていったことがありました。
美咲さんは笑顔で受け取ってくれましたが、数、私が彼らのマンションを訪ねた、その煮物はつかずのままゴミの袋に捨てられているのを見てしまったのです。
「ごめんなさい。」
美咲さんは申し訳なそうに言いました。
「がし濃くて。」
から言い訳をされましたが、それ以来、私は作りの料理を彼らのに持ち込むことは切やめました。
お義母さんに迷惑かけたくない。
若い夫婦にししたくない。
私たちはそうやって絶妙な距を保ってきました。
けれど今回の孫の誕という事件が、その距をしだけ狂わせてしまったのです。
私がなぜあの雑炊を作ったのか。
それは数ヶに美咲さんがぽつりと漏らした言がきっかけでした。
「つわりがひどくて、何をべても気持ち悪いんですけど。」
美咲さんはくを見るような目をしました。
「お義母さんが昔作ってくれたあの鶏肉と卵の雑炊だけは、べられそうな気がするんです。」
その言葉が、私のにく残っていました。
だから無事にまれたと聞いた、私はいてもってもいられず、台所にってしまったのです。
余計なお世話だったのかもしれません。
それでも私は彼女をしでも労りたかったのです。
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私はため息をつき、お茶を淹れました。
いお茶をみながら、私は静かに考えを巡らせ始めました。
もし本当に私の雑炊が原因だとしたら、何がいけなかったのか。
卵の加。
いや、まで完全にを通した。
鶏肉のカンピロバクター。
別のまな板を使い、湯消毒もした。
持ち運びの温度変化。
保バッグと保剤で基準以の温度を保っていた。
どれだけ記憶を遡っても、自分の調理程にミスは見当たりません。
それに、もし本当に毒なら、べてから発症するまでのがすぎます。
美咲さんが雑炊をべたのは昼過ぎ。
健太から話があったのが午5。
わずか数であれほどの激しい嘔吐と痢が起こる菌は非常に限られています。
それにもうつ、気になることがありました。
美咲さんが発症した夜、健太は護師さんが見ていると言いました。
翌朝私が病を訪ねたも、医師は染性胃腸炎も含めて確認と言っていました。
もし私の雑炊だけが疑われているなら、病院側はもっと厳しく私を問い詰めるはずです。
保健所への通報もすぐにわれるべき事案です。
しかし、病院側からは私に何の連絡もありません。
それがすることはつしかありません。
病院は別の原因を疑っている。
「そういうことね。
」
私は湯呑みを持ったままさく呟きました。