"雑炊を疑った息子とノロ陽性の判定" 第20話
あいつが病原菌を持ち込んだのか。
自分の奥さんが倒れているのに平気な顔で社していたのか。
声にはさないけれど、そのたい軽蔑の線が健太の全を刺し貫いていきます。
健太は逃げるように会社をびしました。
駐に駐めた自分のに乗り込むと、そのままハンドルに突っ伏しました。
内の密閉された空で、健太は荒い息を吐き続けました。
「どうして。」
彼は呟きました。
「どうして俺が。こんな目に。」
彼はまだのどこかで自分を被害者だとっていました。
運が悪かっただけだ。
たまたまお腹を壊しただけでなんで自分がこんなに責められなければならないのか。
しかし彼の脳裏に、昨の私のたい言葉が蘇ってきました。
『あなたは昔からそうだったわね。から帰ってもを洗うのはいつも適当。そのあなたの雑な洗いが、今回美咲さんやの患者さんを苦しめたのよ。』
自分が軽蔑していた母親は、30徹底した洗いと管理で命を守り続けてきたプロでした。
それに引き換え、清潔なスーツを着て涼しいオフィスで働いていた自分は、誰よりもで無責任なだったのです。
健太はスマートフォンを取りし、画面を見つめました。
会社からの業務連絡の通が鳴り続けています。
そして、個代の1万5000円が毎加算されていくという現実。
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母親からの資援助はすでに完全に絶たれました。
貯のない健太にとって、この先の支払いは活を直撃するい負担です。
健太は震える指で美咲の番号を呼びしました。
すがるようないで発信ボタンを押します。
しかし何度コールしても、美咲が話にることはありませんでした。
妻からも会社からも母親からも見放された男。
健太は誰もいないので、初めて声をげて泣き崩れました。
方、その頃。
私は自宅の居で静かにのをじていました。
窓をけると庭の犀のりがふわりと流れ込んできます。
テーブルのには、丁寧に入れたほうじ茶と読みかけの本。
私の常は、健太がパニックに陥っていることなど嘘のように、穏やかに過ぎていました。
30気を張り詰めてきてきた私にとって、この静寂は何よりの報酬でした。
誰かの尻拭いをする必もない。
理尽なりをぶつけられることもない。
ただ自分のためだけにお茶を淹れ、自分のためだけにを使う。
それがこんなにも贅沢なことだったとは、今まで気づきませんでした。
計の針が午3を回りました。
私はちがり、夕の買い物にこうとハンドバッグをに取りました。
その、テーブルのに置いていたスマートフォンがく震えました。
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画面に表示された名を見て、私はしだけ目を細めました。
話の主は健太ではありませんでした。
嫁の美咲さんからの着信です。
昨病院で真実をり、子ので青ざめていた彼女。
自分の夫が染源かもしれないとり、私に対する偏見を打ち砕かれた彼女が、今更私に何の用があるのでしょうか。
おの無であれば容赦なく切るつもりでした。
私はしだけを置いてから通話ボタンを押しました。
「はい、本です。」
私の声はひどく落ち着いていました。
話の向こうからは、しばらくの何も聞こえませんでした。
ただ浅く震えるような息遣いだけが伝わってきます。
「お義母さん。」
やがて聞こえてきた美咲さんの声は涙でひどく掠れていました。
いつもの役所職員らしい隙のないたい声ではありません。
1のいとしてのむきしのが震えていました。
「美咲さん、体調はし落ち着いたの。」
私が尋ねると、彼女は答えました。
「はい。」
彼女は声を震わせました。
「はがりました。でも。」
美咲さんはそこで言葉を切り、きく息を吸い込みました。
「お義母さん、本当に、本当にごめんなさい。」
話の向こうで彼女が声をげて泣き崩れるのが分かりました。
それは言い訳も取り繕いもない、からの謝罪の涙でした。
「私、ずっとお義母さんのことを見してました。
」
彼女は告しました。
「お義母さんの作りなんて汚いって、そうい込んでました。