"「他人の姉に使う金はない」夫と800万円の新居" 第16話
そのいに触れ、私ののにあった最の迷いが完全に消えった。
「お姉様は、ご自分の財産がご主や義母様の当な求に使われることをく危惧しておられました」
先が温かいお茶を差ししながら、静かに言った。
「これで義母様の術費としてお姉様のを売れというご主の求は、法に完全に無効となります」
先は私を見た。
「さて佐藤さん、あなたの方の準備はどうなりましたか?」
私は涙をハンカチで拭き取り、顔をげた。
そして自分のバッグから、これまでに集めた全ての証拠をテーブルのに並べた。
夫のスマートフォンを撮したからのメッセージ。
座の級レストランのレシートの写真。
夫の斎で見つけた産売買契約と偽造された婚届の画像。
そして昨、の窓でに入れた過5の取引細。
先は1枚ずつ慎に目を通していった。
特にの取引細を見た、先の目のが鋭く変わった。
「なるほど」
先は呟いた。
「共財産である預から500万円。さらに翌には残りの300万円も全額引きしているのですね。そして3からのへの継続な送記録もある」
先は証拠の類をトントンと机で揃え、く頷いた。
「佐藤さん、あなたがこれまでりに任せてご主を問い詰めず、静かに耐えて証拠を集め続けたのは正解でした」
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もし私が500万円の引きしに気づいた、すぐに夫を問い詰めていたら。
夫は必ず母の術のために準備したと嘘をつき、おをどこかへ隠してしまっただろう。
しかし私は黙って泳がせ、その結果夫は調子に乗り、残りの300万円も引きし、とのマンション購入を決定なものにしてしまったのだ。
「ご主の為は単なる貞為にとどまりません」
先の言葉は力かった。
「共財産の悪質な隠匿、印私文偽造、そして精神虐待です」
先は私を見据えた。
「慰謝料はもちろん、引きされた800万円も全額返還させることができます。マンションの購入など到底能です」
先の言葉はたく、そして力いものだった。
「内容証郵便の準備はすでにっています。ご主の会社との実にも送るはずになっていますが、実に移しますか?」
私は迷うことなく、はっきりと頷いた。
「はい、お願いします」
私は毅然とした声で答えた。
「もうこれ以、あの方たちの好きにはさせません」
姉が命懸けで守ってくれた私のを、度と誰にも奪わせるものか。
私は用された委任状に力を込めて署名と捺印をした。
方、その頃。
夫の浩司はそんな私のきなどらず、頂になっていた。
今は母さんの入院続きがあると私に嘘をつき、会社も休んで向かった先は級具だった。
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隣にはの匂いを漂わせた若い、彩佳が腕を絡ませている。
「浩司さん、このい革のソファすごく素敵。しいマンションのリビングにぴったりだよ」
夫はデレデレと笑った。
「そうだな。彩佳が気に入ったならそれにしよう。ならいくらでもあるからな」
夫はポケットに入れた分い財布の触を確かめながら、得げに笑っていた。
私が姉の財産を全て自分に渡すと約束したとい込んでいる夫は、もう怖いものなどないという顔をしていた。
義母の臓術の費用も、私の姉のを売ればお釣りが来る。
自分はとしいマンションで優雅に暮らし、うるさい妻は文句も言わずに追いせる。
夫ののは、そんな勝な妄で満たされていた。
「午には産にって残りの続きを済ませるからな。母さんの術が終わったらすぐに引っ越しだ」
夫がの肩を抱き寄せようとしたそのだった。
夫のスマートフォンがブルッとく震えた。
画面を見ると、産会社の担当者からの着信だった。
「お、ちょうどいい。ちょっと話にてくるよ」
夫は嫌で話にた。
「はいはい、佐藤ですが。今の続きの件ですね。ええ、もちろん準備はできていますよ」
しかし話の向こうの担当者の言葉を聞いた瞬、夫の顔からすっと血の気が引いていった。