みかん小説
本棚

"「他人の姉に使う金はない」夫と800万円の新居" 第18話

すぐに話して文句を言ってやる」

その滑稽な姿を見て、義母がため息をついた。

「浩司、落ち着きなさい。男がそんなことでオロオロするんじゃないの」

義母は私に向き直った。

「それより由美さん、くその袋を渡しなさい」

義母はさらに言葉を続けた。

「それと、これもね」

義母は枕元の引きしから、1枚の緑の用を取りした。

婚届だ。

夫の斎に隠されていた偽造のものではなく、しく用されたもののようだった。

「ここに今すぐ、あんたの判子を押しなさい」

義母は酷な笑みを浮かべ、私にペンを差しした。

「え、お姉さん、それは……」

叔母の恵子さんが驚いたような声をあげると、義母は自げに胸を張った。

「恵子には言ってなかったわね。実は浩司、もうすぐ築のマンションを買うのよ」

義母は嬉しそうに語り始めた。

「そこにしく素らしいお嫁さんを迎えることになっているの。若くて気が利いて、私にも優しい彩佳さんっていう素敵な女性よ」

義母は私という妻が目のにいるにも関わらず、堂々との名にした。

夫の浩司は慌てた。

「あ、母さん。今はその話は……」

夫が止めようとしたが、義母は止まらない。

「いいじゃないの。どうせ今でこの女とはお別れなんだから」

義母は私をたい目で見据えた。

「由美さん、あんたみたいな気の利かない嫁は、もうには必ないのよ」

広告

義母は酷に言い放つ。

「姉の財産を全部置いて、さっさとていきなさい」

義母の暴言に、病の空気は異様なものになっていた。

叔母の恵子さんでさえ、し引いたような顔で義母を見ている。

夫は顔面を蒼にしながら、私と義母を交互に見つめていた。

「由美、その、母さんの言う通りだ」

夫はがって言った。

「慰謝料代わりにおの姉の財産は俺たちがもらう。それで円満に別れてやるから、く判子を押せ」

夫は自分の座が凍結された理由から目をそらし、引にことをめようとしていた。

ここで私を追いして財産を奪えば、全てが丸く収まるとい込んでいるのだ。

これ以ないほどで醜い親子だった。

私は袋を両で持ったまま、静かにいた。

「慰謝料代わりに、姉の財産を渡せと」

義母が苛ったようにを伸ばしてきた。

「そうよ。あんたが今までうちの男に養ってもらった恩返しよ。さあ、くその袋を渡しなさい」

私は抵抗せず、そのきな袋を義母のベッドのに静かに置いた。

「わかりました」

私は淡々と答えた。

「お義母さんがどうしてもとおっしゃるならお渡しします。これが私からのお返事です」

義母は目を輝かせ、餓鬼のように袋にびついた。

「ふふっ。最初から素直にそうすればよかったのよ」

夫も期待に満ちた目で、その袋を覗き込んだ。

広告

これで産の違約も払えるとでもっているのだろう。

しかし、義母が袋のから取りしたものは、の権利でも姉の通帳でもなかった。

「何よ、これ?」

義母の顔が怪訝に歪んだ。

袋のからてきたのは、分いファイルの束だった。

にあったのは、の窓で発された過5分の取引だ。

義母はそのを乱暴にめくり、そこに印字されている数字に目を落とした。

「なんだってこんな……ちょっと浩司」

義母は怪訝な顔で夫を見た。

「これあんたの通帳の細じゃないの?どういうこと?」

義母がそう言いながら、500万円が引きされたページをいた瞬だ。

夫はひいっと鳴をあげ、ずさりした。

私は静かにいた。

「お義母さん、次のページも見てください」

私は義母の目を見つめた。

「今朝、浩司さんが残りの300万円を全額引きした記録も載っていますよ」

私はたい声で宣言した。

「私たちの老800万円は、全て浩司さんが持ちしました」

私が静かにそう告げると、義母は目を見き、夫を睨みつけた。

「浩司、あんた、このおはどうしたの!」

義母は叫んだ。

「マンションのにしたっていうの!私の術費は!」

夫は完全に言葉を失った。

「ち、違う、母さん。これは……」

をバタバタと振って言い訳を探している。

さらに私は、袋のからもう1つの類を取りし、義母の目のに突きつけた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: