みかん小説
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"毒を運ばされていた私" 第3話

引き払いのゴミ袋にを伸ばそうとしたが、指先が微かに震えて止まらなかった。

の非番の朝、私はに揺られていた。

向かったのは、野駅ではない。 事にインターネットで調べたところ、昭の国鉄代に設置されていた「駅荷物預り所」は、民営化に伴い半が撤されたが、部の古い管理業務は、駅くのにある民の倉庫管理会社にそのまま引き継がれているという記録を見つけたからだ。

央線のに沿って歩くと、煤煙と油の匂いが漂う、トタン根の平建ての事務所があった。 板には褪せたペンキで『保管サービス』とかれている。

錆びたアルミサッシの引き戸をけると、ぬるい煙の煙とともに、油ストーブの臭いがをついた。 奥の事務机で、老鏡をかけた初老の男が、競馬聞から顔をげた。

「……はい、何でしょう」

私は分証と、ポケットから取りした真鍮の鍵をカウンターに置いた。

「この鍵の……預かり物について、確認したいのですが」

男は眉をひそめ、差し指で鍵をつまみげた。 老鏡をしずらし、鍵の刻印をじっと見つめる。

「うわ、これ……昭の預かり札の鍵だよ。どこで見つけたの?」

くなった親戚の、遺品理をしていて見つかりました。まだ、引き取れるものは残っているんでしょうか」

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男は怪訝そうな顔をしながらも、奥の製キャビネットへと向かった。 引きしをけるたびに、キィキィと蝶番が鳴る。 黄ばんだの台帳を何冊かめくり、指先を滑らせていた男が、ふとを止めた。

「……あるね。第号。これ、昭の契約だよ。更料だけは、ごとにまとめて現留で送られてきてる。ついにも払われてるな」

。 清原さんはその頃、腰がたないと言って、週に度の通院すら私の付き添いなしにはけなくなっていたはずだ。 誰が、どこから現を送っていたのか。

男は無言で事務所の奥へ引っ込み、数分、埃をかぶった縦センチ、横センチほどのブリキ缶を両で抱えて戻ってきた。

缶の表面には錆が浮き、いペンキで雑に『34』とかれている。 鍵穴に真鍮の鍵を差し込むと、ギリギリと嫌な音をてて、の封印が解かれた。

パカリ、と蓋がく。

には、札束や貴属など入っていなかった。

入っていたのは、古びた茶封筒が通と、数冊の学ノート。 そして、のアルミシートで包装された、見慣れた形状の薬のシートだった。

私がヘルパーの仕事で毎のように目にしているものだ。 圧剤。 それも、臓への負担を急激にげる、い処方制限のある種類の薬だった。 数錠のシートが、度も押しされることなく、何枚も束ねられて輪ゴムで止められている。

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そして、学ノートの表には、几帳面だが震えるような跡で、名が記されていた。

『相馬 栄造』

その名を見た瞬、私の全の毛穴が逆った。

相馬栄造。 まで、清原さんと同じ都営団階、んでいた老だ。

私が介護事務所に入職したばかりの、担当してわずからずで、「入浴の急性筋梗塞」でくなった単齢者。 当、第発見者となったのは、ならぬ私と、清原さんだった。

なぜ、んだ相馬さんのノートと薬が、清原さんの隠したブリキ缶のに眠っているのか。

私は震えるで、に置かれていた冊のノートをいた。

ページは茶く変し、湿気で波打っていた。 そこには、々の血圧の記録とともに、びっしりと記がき連ねられていた。

最初は、庭の入れや団の清掃当番についてのもない愚痴だった。 しかし、ページをめくるにつれて、文字の隔が狭まり、圧が異様なほどくなっていく。

『また郵便受けの針が曲げられていた。 役所からの特定疾患の通が届いていない。 階段で階の清原とすれ違った際、あの女の買い物袋の底に、私宛の封筒の角が見えた気がした。 気のせいだと言い聞かせたが、あの女の目が笑っていなかった』

『確信した。

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