"消された母親の席" 第6話
元で囁かれたその言葉に、私の全から血の気が引いた。
「葵はね、私と修平の子供よ。、条の本妻としての、で産んだ子をそのまま引き取るわけにはいかなかったの。だから、ちょうど同じ期に未熟児を産しかけていた、あなたのところへ預けてあげたのよ」
「産……?」
「そうよ。あなたの産んだ本当の赤ん坊はね、胎盤期剥で、お腹のでとっくに息絶えていたの。修平と病院が裏をわせて、私の葵とすり替えてあげたのよ。謝してほしいくらいだわ。あの子のがあったからこそ、あなたも母親の真似事ができたんでしょう?」
「嘘……嘘よ……!」
私はを抱えて叫んだ。
そんなはずはない。あの、保育器ので々しく私の指を握り返してくれた、あの温かいさな。あれが、の子供だったというのか。私の本物の子供は、たい病院のゴミ箱に捨てられていたというのか。
「嘘だとうなら、修平に聞きなさい」
綾さんは然と言い放ち、ちがった。
「葵は慶の血筋を引いているの。初等部に入学すれば、将来は条グループの医療法の継者のになる。あなたのような、収数百万円の教員のアパートで、セール品の豚肉をべて暮らすような器じゃないのよ」
「印鑑を押しなさい、真奈美」
静枝がから私を見ろし、朱肉のケースをへ投げ落とした。
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「修平はもう、綾さんと活を始める準備をめているよ。このアパートも今末で引き払いだ。あんたの荷物はまとめて実へ送ってやるから、さっさと反省してを引きなさい。これ以見苦しく騒ぎてたら、警察を呼ぶよ。あんたが葵を虐待していたって、教育委員会とお受験サロンの全員に言いふらしてやるからね!」
「虐待……?」
私が愕然として顔をげると、綾さんがスマートフォンを操作し、サロンの公式LINEグループの画面を私の目のに突きした。
そこには、慶会の数百の母親たちに向けて、すでに発信された綾さんの投稿が表示されていた。
『幹事の条です。極めて残なご報告ですが、部の会員庭において、直期の過度な圧から、母親によるお子様へのヒステリックな精神・体虐待の疑いが浮いたしました。お子様の全を最優先とし、当会および学園関係者にて保護をっております。皆様も、願提の庭環境の健全性には分にご留ください』
その投稿のには、取り巻きの母親たちからの追従の返信が、滝のように連なっていた。
『恐ろしいですね……子供がすぎます』 『相沢先のところですよね? 奥様、昔から緒定そうでしたものね』 『名のをくぐる資格なんてありません。
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即刻退会させるべきです』
包囲網は、すでに完成していたのだ。
学も、親族も、お受験のコミュニティも、すべてが条綾ののままにいていた。
私が何を叫ぼうと、何を訴えようと、世は私を「子供を虐待して親権を剥奪された狂った母親」として処理し、葵を法に奪する準備をえていたのだ。
「葵は……葵はどこにいるの!」
私は静枝の首にすがりついた。
「葵に会わせて! 葵に直接聞くわ! 私をママじゃないって、あの子が言うわけがない!」
「葵ちゃんなら、とっくに私の実の別邸へ連れてかせたわ」
綾さんはややかに微笑み、バーキンの具をカチャリと鳴らした。
「今頃、私の母と、庭教師をつけてお儀の見直しをしているところよ。あなたの貧乏たらしい料理の付けも、物のスウェットも、すべて綺麗に忘れさせてあげる。あの子は、条の令嬢としてまれ変わるの」
「返して……! 葵を返して!」
私がちがろうとした瞬、静枝が私の肩をく踏みつけた。
「往際が悪いよ! さっさとサインしな!」
「絶対に……絶対にしない……!」
私はに突っ伏したまま、奥歯が砕けるほど噛みしめた。
「殺されたって、サインなんてしない……! 葵は私の娘よ……! あんたたちのい通りになんて、絶対にさせない……!」
部の空気が、張り詰めた。
綾さんは私の顔を、ゴミを見るような無質な目で見ろしていたが、やがてさく溜息をついた。
「いいわ。