"消された母親の席" 第8話
添付されていたのは、今夜、条の本邸でかれているという、決起集会の記写真だった。
豪華絢爛なシャンデリアが輝く広。
央には、慶の理事や力者たちに囲まれ、シャンパングラスを掲げて微笑む綾さんの姿があった。
そして、その綾さんの隣にっていたのは、彼女の歳になる男——慶初等部のである、昂(こう)くんだった。
仕ての良い濃紺のセーターを着た昂くんは、誇らしげに胸を張り、カメラに向かってを掲げていた。計を自するように、捲りげられたセーターの袖。
その瞬、私の呼吸が完全に止した。
スマートフォンの画面を、本指で最限にピンチアウトする。
ノイズ混じりの拡画面の、昂くんのく細い首の内側に、はっきりと写り込んでいたもの。
それは——。
皮膚のに浮かびがった、ミリほどの淡いの痣だった。
にさく翼を広げ、へと尾を引く、極めて特殊な形状。
まるで、空を翔ける鳥のような形の、先性の奇形痣。
「あ……」
声にならなかった。
私は震えるを持ちげ、自分の首の内側を見た。
暗い部の、、私の首に刻まれ続けてきたものと、寸分違わぬ、寸分違わぬきさ、寸分違わぬ輪郭。
父の系にのみ、代にわたって遺伝すると言われていた、『鳥(あすか)のあざ』。
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なぜ、条綾の息子に、私の血の痣があるのか?
混乱と戦慄で界が激しく滅する、私の線は、写真のさらに奥、広の壁際に置かれた巨なアンティークの姿見へと吸い寄せられた。
箔のフレームで縁取られた、から井まで届くきな全鏡。
そこに、写り込んでいたのだ。
カメラの画角からは巧妙にれ、撮者の角である鏡の裏側にっていた、組の男女の姿が。
仕ての良いダークスーツを着た修平が、ネクタイをわずかに緩め、をく綾さんの背にっていた。
そして、修平のは。
まるでそれが常の当たりの所作であるかのように、極めて自然に、極めてく——。
綾さんの細い腰を、ドレスのから抱き寄せるように、く握りしめられていた。
鏡のの修平の顔には、私には度も見せたことのない、暗く淀んだ、傲な欲の笑みが浮かんでいた。
スマートフォンの画面から発せられる青いが、私の首を照らしていた。
画面の、昂くんの首にあるあざ。 私の首にある、見慣れたあざ。
つの輪郭が、網膜の裏で完全になりっていた。
ののどこかで、何かが音をてて千切れた。 指先から血の気がサーッと引き、吐き気とともにたい脂汗が額を伝い落ちる。
父の血筋にしか現れないはずの、鳥のあざ。
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なぜ、条綾の息子が、それを持っているのか。
そして、あの広の巨な全鏡。 カメラの角で、綾さんの腰に回されていた修平の。あの慣れ親しんだ、躊躇いのない指のい込み方。あれは昨今始まった関係ではない。何も、何もかけて、私の見えないところで積みねられてきた、常な肉体の接触だった。
「……あ、ぐ……っ」
胃の奥が痙攣し、私は畳のに両を突いて激しくえずいた。 だが、吐きせるものなど何もない。乾いた胃壁がこすれう激痛だけが、肋骨の奥を締めげる。
。 私は、体何を見てきてきたのか。 何を信じて、毎朝に起きて葵のお弁当を作り、夜まで過問を解き、ののタイヤを歯ブラシで磨いてきたのか。
の鉄扉ノブを、力任せに回してみる。 ガチャリ、とい属音が響くだけで、扉はミリもかない。側からシリンダー錠が完全にろされていた。窓の格子は太く、教員宅の階からはびりることもできない。
私は監禁されていた。
の夕方には公証役で期が設定されていると、あの女は言った。 私の実印と委任状を使って、葵の親権を法に奪いる。その、私をこの部に閉じ込めておくつもりなのだ。
叫んでも無駄だ。教員宅のたちは皆、慶学園の職員とその族だ。
夜に教員の妻が喚き散らせば、それこそ綾さんがグループLINEに流した「ノイローゼによる虐待母」