"0427の暗証番号が暴く夫の秘密" 第5話
私はそれを財布に入れた。捨てるという発がそのは議と浮かばなかった。
婚届けが受理されたのは翌だった。夫が朝番に役所へしたのだと、になって類の付を見てった。
私は自分の苗字を戻す続きをその週のうちにで済ませた。窓をいくつも回った。保険証、免許証、、携帯話、勤務先。その度に婚という言葉をにさなければならない。窓のは誰も嫌な顔をしなかった。事務に丁寧に、「こちらの用もお願いします」と言うだけだ。それがかえってこたえた。で番辛いことが、類のではただの記載事項の変更でしかない。
朝倉みつきという名に戻った、私は駅のベンチに座ってしばらく空を見ていた。の空はくて、がしもかなかった。
残りの荷物を取りに戻ったのは、それからの午だった。夫は仕事にていた。鍵はまだ返していなかったので、私は自分でけて入った。数まで自分のだった所に、のに入るような入り方をした。
部は綺麗に片付いていた。私が使っていた器は流しのの棚にまとめてあった。洗面所の球はしいものに変わっていた。
私はダンボールに残りの荷物を詰めた。詰めながら押入れの奥をけた。そこには私が独の頃から持っていたダンボールがつ入っていたはずだった。
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学代のアルバムと昔のと古い雑誌の切り抜きを入れた箱だ。
数えるとつしかなかった。私はしばらくその隙を見ていた。が何だったのかはそのすぐにはいせなかった。夫が捨てたのだろうとった。私のものを勝に捨てるようなではなかったけれど、こんなにを追いすでもなかったはずだ。だからもう何をっても仕方がないとった。
私は台所に鍵を置いた。それから玄関で靴を履いて、部のに向かって度だけをげた。誰もいない部にお辞儀をしている自分が、ひどく滑稽にえた。
その、なくなっていた箱がどこへったのかをるのは、それからのことになる。
そこからが始まった。あのから、私は0427という数字を憎むようになった。憎むというのは正しくないかもしれない。あの数字を見ると胸の辺りがたくなって、しばらく何も考えられなくなる。そういう数字になってしまったということだ。幸せな記というものが、こんなにを刺す形に変わることがあるのだと、私はその初めてった。
夫と初めて会ったのは。私が歳のだった。その頃私はの箱を作る会社の総務にいた。会社は町並みの通りの奥にあって、昼になってもくにべるところがない。
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私はいつも決まった喫茶に通っていた。「実り」というだ。
カウンターがつと窓際に掛けの席がつだけのさなだ。マスターはを過ぎた無なで、注文を受けても「はい」としか言わない。壁の計はいつも分んでいた。
私はそのの窓際の番奥に座って、替わりの定をべてコーヒーをんだ。
私がそのに通うようになったのには理由がある。父がくなったのは私が学のだ。朝まで普通に話していたが、夕方には病院のベッドでたくなっていた。あまりに急だったので、私はしばらく泣くことができなかった。泣けるようになったのは半もで、それでもでは泣けなかった。母がもっと辛いのをっていたからだ。
就職して暮らしを始めてから、私は泣く所を探すようになった。部は静かすぎて泣けない。公園はがいる。そういうに見つけたのがあのだった。奥の席に座って窓のを見ていると、なぜか涙がた。マスターは何も聞かなかった。をしに来て、それだけで引っ込んでいく。泣きたいにで来られる。「実り」というは、私にとってそういう所だった。
夫と会ったのはそののカウンターだ。そのは窓際が埋まっていたので、私は仕方なくカウンターに座った。
隣に、作業着ではないグレーの着を着た男のがいた。