"0427の暗証番号が暴く夫の秘密" 第6話
同じ替わりをべていた。
会計の、私は自分の伝票を持ってレジへった。マスターが額を言った。私が財布をすよりく、隣にいたそのが千円札をした。
「え、あの、あ、すみません。違えました」
そのは私の会計を自分のものだとい込んでいた。同じ替わりで額まで同じだったのだ。慌てて謝って、まで赤くなっていた。私はおかしくなって笑ってしまった。笑われたそのはもっと赤くなった。それが瀬優馬というとの最初だった。
同じに同じへ通っていたので、それから週に何度か顔をわせるようになった。挨拶をするようになって、そのうち隣に座るようになった。話してみると、夫はくの「祝井属業」という会社の営業だった。属の部品を扱う会社で、うちの会社とは取引がなかった。
営業に向いていないだなと私はった。話すのが本当になのだ。相の目を見て話せない。話の途で自分で自分の言葉を止めてしまう。けれどこのはよく見ているだった。
ヶほど経った頃、私は父の命ののにあのへった。窓際の奥がいていたのでそこに座った。何も特別なことは考えていなかったのに、コーヒーが来たら涙が止まらなくなった。私は顔を伏せて、の隅で肩を震わせていた。
広告
その、には夫がいた。カウンターに座って聞を読んでいた。夫は何も言わなかった。声もかけなかった。私の方を見もしなかった。しばらくして夫はちがって、レジで会計をしてていった。
私が帰ろうとした、マスターが言った。
「あちらのお客さん、払っていってます」
「え、お連れさんじゃないんですか?」
私はをて通りを見た。夫の姿はもうなかった。
次に会った、私はその話をした。夫は聞をめくるを止めてこう言った。
「気にしないでください」
「気にしますよ」
「いや、あれは……」
夫はそこで言葉を探して、結局こう言った。
「泣いてに丈夫ですかって聞くのは、違うとったので」
私はその答えを随分いこと覚えている。このは声をかけないという形でを助けるなのだと、その初めてわかった。うまく言えないから、黙ったまま何かを置いていく。それが夫のやり方だった。
付きい始めたのはそののだ。付きっているに、私は度だけ夫の実へった。「瀬製作所」というさな町だった。板の文字はもう半分消えていて、シャッターのの方が錆びていた。
に入ると、械の油の匂いがした。作業台のに部品が並べてあって、どれも私ののひらに乗るくらいのきさだった。
お父さんの名は現さんと言った。
広告
背のい、腕だけが太いだった。私が挨拶をすると現さんはを拭きながら奥からてきてこう言った。
「優馬がねえ……まあ、うちは見ての通りですから」
「素敵なですね」
現さんは笑った。笑うと夫にそっくりだった。
その、現さんは作業台の端に置いてあったさな具を私にくれた。親指の先ほどの部品だった。何に使うものかは教えてくれなかった。
「うちのは目に見えないところに入るもんばっかりでね。だから褒められることはねえんだ。壊れただけられる」
夫は横で黙って聞いていた。
帰りので、私が具を見ていたら夫が言った。
「親父はあれで気に入ってる。何があんたが素敵ですねって言ったの」
夫はそれきり窓のを見ていた。あのは自分の親を褒められることに慣れていなかったのだとう。
付きいで、私が歳になったに結婚した。プロポーズもひどいものだった。夫は駅の歩の真んで急にち止まってこう言った。
「あのさ、戸籍って緒にできるだろ」
「何それ?」
「いや、だから……緒にしたい」
歩のをが何台も通っていった。私は笑って、その泣いた。夫は困った顔をして、「がいな」と関係のないことを言った。
の話をしたのはそのしだ。結婚の準備であちこち歩き回った帰りに、私たちは実りに寄った。
閉際で客は私たちだけだった。マスターは奥で洗い物をしていた。私はカウンターのの具を眺めながら、こんなことを言った。