"身重の愛人を抱き起こした私" 第17話
葵は診断を、正雄叔父のに差しした。
「康平さんはお医者様に『いくら払えば今すぐ堕ろせるんだ』と詰め寄り、絶を拒否した私を置いて、『自分はただの雇い主で、認もしない』と言い捨てて逃げたんです」
「な……っ」
親族たちが息を呑む。 葵はスマートフォンの画面を操作し、スピーカーをオンにしてテーブルのに置いた。
再されたのは、昨の夕方、葵のアパートので録音された義母の切り声だった。
『けなさいよ! この棒猫!』 『今すぐその腹の子を堕ろしなさい! どこの馬の骨ともれない汚いガキを、佐藤の子どもだなんて偽って、おをたかる気でしょう! 円もさないわよ!』
々しい罵声が、の隅々まで響き渡る。 義母の顔が、赤から青、そして気へと目まぐるしく変わっていった。
さらに、葵は康平から送られてきたLINEのメッセージ画面を、親族たちに見えるように掲げた。
『絶の話は、由を追いしてからもう度詰める』
のを支配したのは、もはやりを超えた、底れない嫌悪と軽蔑の沈黙だった。
自分の借を隠すために、妻を精神に追い詰めて無文で追いそうとし、 そのための具としての妊娠を利用し、 用が済めば、まれてくるが子の命すらで踏み躙ろうとしていた。
正雄叔父の拳が、みしりと音をてて畳にめり込んだ。
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「……康平」
をうような叔父の声が、静寂を切り裂いた。
「おという男は……ここまで腐り果てていたのか」
「お、叔父さん、違っ……俺は……!」
「黙れッ!!」
正雄叔父の号が轟き、の障子がビリビリと震えた。
「連れ添った嫁を『欠陥品』と罵り、の娘を弄んで孕ませ、挙げ句の果てに親のまで借のカタに差しすだと!? これが……これが佐藤の跡取りのやることか! 恥をれ、この馬鹿者が!」
「ひっ……!」
康平は鳴をげて畳に額を擦り付けた。 営業課としてのプライドも、傲な夫の威厳も、そこには微も残っていなかった。ただ、自らの破滅に怯える、惨めで醜悪な男の残骸が転がっているだけだった。
「さち子さんもだ!」
正雄叔父のりの矛先が、震えがる義母へと向けられた。
「あんたが康平を甘やかし、面ばかりを気にして由さんをいびり続けてきた結果がこれだ! 世体が聞いて呆れるわ! 親族同、輪際あんたたち親子には切関わらん! 本からの援助も、付きいも、今限りで完全に断絶する!」
「そ、そんな……! 正雄さん、待ってください! 私を見捨てないで……!」
義母はそのに泣き崩れ、畳を掻きむしった。 だが、周りの親戚たちは誰として助け舟をそうとはしなかった。皆、汚らわしいものを見るような目を向け、席をとうとしている。
私は、膝ののバッグから、自らの印鑑を取りした。
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「康平さん」
私のやかな声に、畳にへたり込んでいた康平が、すがるような目で顔をげた。
「ゆ、由……頼む、許してくれ……! 俺が悪かった、全部俺が悪かったんだよ! おしかいないんだ! やり直そう、な? 婚なんて嘘だろ……!?」
で汚れたようなで私の首に縋り付こうとする康平を、私は歩退り、徹に拒絶した。
「やり直す? 冗談は顔だけにしてください」
先が、通の類を康平の目のに叩きつけた。
「通目は、由さんに対する財産分与および慰謝料の支払です。この自宅産の任売却に伴い、由さんの資百万円と解決百万円、計千百万円を売却代から最優先で配当させる条項が入っています」
康平の喉から、ひゅうという引き攣れた音が漏れる。
「そして通目は、葵さんのお腹にいらっしゃるお子様に関する『胎児認届』ならびに『養育費支払誓約』です。公正証作成の委任状と、与の制執を認諾する文言が含まれています。あなたが自己破産しようと、職を失おうと、子どもの養育費の支払い義務は免責されません」
先は万を抜き、康平の目のに突きてた。
「今すぐここに署名・捺印してください。拒否されるのであれば、直ちに横領および詐欺未遂の容疑で刑事告訴の続きに入ります。
あなたの会社へも、弁護士照会を通じて事実関係の通をいます」