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"全員が揃えた同じ嘘" 第10話

景が、私の脳裏に鮮に蘇った。 あの、普段は気な輔が、を垂らしながら教卓を叩いて訴えていた姿。 優等だったが、青ざめた顔でがり、「わかった。私たちがさんを守るのよ」と全員に号令をかけたこと。 歳の子どもたちは、その言葉の本当のみもらず、ただ『仲を守るための絶対の約束』として、その嘘を臓の奥くに刻み込んだのだ。

「みんな、守ったんだよ」

輔は乾いた笑いを漏らした。

「誰も裏切らなかった。に帰って、親に問い詰められても、誰として割らなかった。……でもな、律。現実は、そんな綺麗なもんじゃなかったんだ」

輔の顔から、再び血の気が引いていった。 懐灯のが、鉄扉の取っから、の暗がりへと落ちる。

「……何があったんだ?」

そのだった。

から、カツン、カツンと、い靴音がづいてくるのが聞こえた。 音に混じって、警備用の無線から漏れるノイズが、階段のから微かにってくる。

「おい、誰かいるのか!?」

太い男の声が響いた。 解体現の見回り警備員だ。

「チッ……見つかったか」

輔が素く懐灯ので覆い、私の腕を引いた。 私たちは階段の反対側、かつて体育の更として使われていたの暗がりへと滑り込み、息を殺した。

バサバサとビニール羽の擦れる音が階段をりてくる。

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警備員の懐灯のが、の通に舐めるように照らしした。 の筋が、更の壊れかけた製ドアの隙をかすめていく。 臓が肋骨を突き破りそうなほど激しくがった。私は元をで押さえ、呼吸の音さえも押し殺した。

警備員は鉄扉のち止まり、チェーンの残骸を見つめているようだった。 やがて、「……猫か?」と独り言を呟き、無線で本部に異常なしを報告しながら、取りで階段をがっていった。

音が完全に消え、再びの音だけが戻ってくるまで、私たちは暗で微だにしなかった。

たい汗が、私の顎からに滴り落ちる。 輔が、暗でポツリと呟いた。

「……分だった」

その声は、更の埃っぽいに、毒のように染み渡っていった。

「男は騙されなかったんだ。学へ逃げるどころか、にあったツルハシを持ちしてきやがった。俺が田さんと教を呼んで、ここへ駆けつけたには……もう、チェーンは叩き切られてた」

輔の指先が、暗で私のの袖を掴んだ。 その力は、助けを求める子どものように痛切だった。

「扉がいてたんだよ。から、の叫び声が聞こえた。俺たちが懐灯でを照らした……そこにあったのは、獄だった」

獄……?」

球は割れてて、の踏みもないくらいガラスの破片が散らばってた。

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コンクリートのには……赤い血の筋が、何本も引かれてたんだ」

私の息が止まった。

「倉は……奥のボイラーので、折れたスチール棚の鉄パイプを両で構えてってた。から血を流して、顔の半分が真っ赤に染まっててな。息をゼイゼイ切らしながら、獲物を狙う野獣みたいな目で男を睨みつけてたんだ。先ろで、さく丸まってガタガタ震えてた」

輔の涙が、私の腕のに落ちた。

「男も……腕や腹から血を流してた。先が、鉄パイプで殴りつけたんだよ。男はに倒れ込んで、痛みに呻きながら、駆けつけた教と警察に向かって叫んだんだ。『この狂った女教師が! 俺の娘をに監禁して、助けに来た父親を殺そうとしやがった!』ってな」

「……何だって?」

「男は被害者を装ったんだよ! 自分は正当な親権者で、娘を迎えに来ただけなのに、定な担任が妄に取り憑かれて娘を連れり、に閉じ込めて暴力を振るったって! 『学を訴えてやる! 教育委員会も、この女も、全員ブタ箱に送ってやる!』って、血を吐きながら喚き散らしたんだ!」

言葉を失った。 あまりの理尽さに、胃の奥からい酸が逆流してきそうだった。

は……はその、何て言ったんだ!?」

私が問い詰めると、輔は首を横に振った。

「言えるわけねえだろ! あんなさな子が、血ので、実の父親と血まみれの先を見て……声なんてるわけねえ! は過呼吸を起こして、そのまま気を失って倒れたんだよ!」

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