"全員が揃えた同じ嘘" 第13話
に入った、黄く変した藁半。 それを、のにある丸テーブルのに、静かに置いた。
の線が、吸い寄せられるようにその片へと落ちた。 プラスチック越しに見える、自分自の幼い跡。 『先はのとき、まだにいました』
その文字を認識した瞬、は息を呑み、両で自分の元を覆った。 膝の力が抜けたように、そのに崩れ落ちそうになるのを、彼女は本棚の縁を必に掴んで持ち堪えた。
「これを……まだ持ってたの……?」
「捨てられなかった」
私は畳のに正座し、と同じ目のさで言った。
「輔に会ってきたよ。先週、解体される学のへってきた。輔は泣いてたよ。あの、先に頼まれてからチェーンをかけたこと、自分があの嘘をみんなに言わせたことを、ずっと自分の罪だとい詰めてた」
「輔君が……?」
「綾にも連絡した。あいつも、取り乱して話を切ったよ。みんな、忘れてなんかいないんだ。あの『先は午に帰りました』っていう嘘を、みんな今でも喉に刺さった骨みたいに抱えてきてる。……ちゃん、君だけじゃないんだよ」
のきな瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。 彼女は畳のに崩れ落ち、正座のまま両を太もものに置き、さく丸まった。 の、あの教の隅にいた姿と、まったく同じだった。
広告
「私のせいなの……」
は絞りすような声で、嗚咽を漏らした。
「全部、私のせいなのよ。私が……あんなにまれたから。私の父親が、あんな怪物だったから……。倉先は、私を助けようとして、全部を失ったの。教員免許も、仕事も、名誉も……全部。それなのに、私だけがこうして平気な顔をしてきてる……。私さえいなければ、先は今でも学で、みんなに囲まれて笑ってたはずなのに……!」
「ちゃん」
「律君、あなたたちだってそうじゃない!」
が顔をげた。 涙でぐしゃぐしゃになった顔には、凄まじい自己嫌悪と痛みが渦巻いていた。
「学だったあなたたちに、あんな恐ろしい嘘をつかせて……たちを騙させて、に消えない傷を負わせた。輔君が苦しんでるのも、委員が怯えてるのも、全部、全部私の庭の汚いを、あなたたちにねばしたからじゃない!」
「違う!」
私はわずい調で遮った。 静かな図のに、私の声が響き渡る。
「誰も君を責めてない。輔だって、綾だって、僕だってそうだ。あの、僕たちがついた嘘は……輔に言われたからだけじゃない。みんな、の底で君を守りたかったんだよ。歳の子どもなりに、必だったんだ。でも……何が起きたのかが分からないから苦しいんだ。どうして先は、精神の病気で辞めたことになったんだ? 輔は、先が鉄パイプを持って、血を流して君を守ってたって言ってた。
広告
どうしてそれが、あんな恥ずかしい依願退職の枚で片付けられなきゃならなかったんだ!?」
は両で顔を覆い、肩を震わせて泣き続けた。 のから吹くが、窓ガラスをカタカタと揺らす。 部の隅に置かれた古計が、ボーン、ボーンと、正午の鐘を鳴らした。
やがて、い沈黙のあと、はゆっくりと涙を拭った。 赤く腫らした目を伏せ、震える指先でテーブルののビニール袋に触れた。
「……あの」
のから、い扉が軋みながらくように、言葉が紡ぎされ始めた。
「分に、父がツルハシで鍵を壊してに入ってきた……先は、本当にすごかったの」
の声は、く、微かに震えていた。
「父は完全に狂ってた。酒の匂いをさせて、私を引っ張りそうとした。でも先は、絶対に私を渡さなかった。パイプを振り回して、父の腕を殴って……父に押し倒されてをコンクリートの角に打ちつけても、ちがって、また父にしがみついた。『この子に触るな!』って、叫びながら」
その景を像するだけで、胸が張り裂けそうだった。 華奢で、いつも穏やかに微笑んでいた歳の女性教師が、凶暴な男を相に、文字通り命を削って肉弾戦を繰り広げていたのだ。
「教先と、通報を受けた警察官が踏み込んできた、父はに倒れてた。
先も、壁に背をもたれて、血だらけで座り込んでた。