"全員が揃えた同じ嘘" 第15話
『すべての責任は、私個にあります。私が過度のストレスと精神な疲労から、正常な判断力を失い、篠原さんをに適切に留め置き、迎えに来た父親に対して過剰な防を取ってしまいました。学にも、教育委員会にも、そして何より子どもたちには切の責任はありません』って」
の目から、再び粒の涙が零れ落ちた。
「先は、自分から『のおかしい狂った教師』の役を引き受けたのよ。自分が精神を病んで暴したということにすれば、学は『教員の個な祥事・病気による依願退職』として処理できる。教育委員会も傷つかない。マスコミに騒がれることもない。輔君やあなたたちが警察に呼ばれて事聴取を受けることもない」
「でも……それじゃ、ちゃんが父親に連れ戻されてしまうじゃないか!」
「違うの。そこが……先の本当の狙いだったのよ」
は首を横に振った。
「先は、その退職届をす条件として、たったひとつのことを教育委員会と警察に突きつけたの。『私は今この瞬、精神疾患を理由に教職を辞任する。したがって、この児童を保護・監督する能力は私にはない。そして父親は暴力為による負傷で入院であり、母親はシェルターに避難である。よって、この児童は今、即座に監護者を完全に欠いた緊急保護状態にある』って」
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私の呼吸が止まった。
「児童福祉法に基づく、職権による『保護』……!」
「そうよ」
は涙を拭いながら、力く頷いた。
「教職を捨てて『無能』な狂になることで、先は政の歯を制にかしたの。父親の親権の主張を無して、児童相談所の所権限で、そののうちに私を制隔させた。父が退院したには、私はもう国のによって、父のの届かない別の県の施設へ移送されただった。父がどれだけ騒ごうと、児童相談所の決定は覆せなかった。先は……自分ののすべてをゴミ箱に投げ捨てることで、私を父親の檻から永に救いしてくれたのよ」
胸の奥が、い鉄を押し当てられたように焼かれた。
なんというだろう。 なんという覚悟だろう。 歳の若い女性が、たったの教え子を暴力から救うために。 そして、自分を信じて嘘をついてくれたの子どもたちを、の汚い法廷闘争から守り切るために。 すべてのを自分で被り、「精神を病んで職務を放棄した愚かな教師」という汚名を自ら背負って、夜ののへ消えていったのだ。
『組保護者の皆様へ――担任教諭の健康の理由による依願退職について』
あの緑の粗末なプリントの裏に隠されていたのは、保にるたちの醜悪さと、の教師の、命を賭した気い自己犠牲だった。
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「半、母の正式な婚と保護命令が成して、私はこのに移ることになった」
はテーブルのの片を見つめた。
「転するのの夜、私はどうしてもできなかった。先がどんないで私を守ってくれたのか、子どもながらに全部わかってた。それなのに、学が『倉先はがおかしくなって逃げた』って噂してて……悔しくて、悔しくて、にそうだった。だから……」
「だから、あのをいたんだね」
「うん」
はさく頷いた。
「誰かに助けてほしかったんじゃない。先のしたことを、誰かでもいいから、覚えていてほしかった。先は逃げたんじゃない、あの、午ので、血を流しながら私を守ってくれたんだって……誰かに証拠として残しておきたかったの。律君……あなた、私の隣の席で、いつも番静かに、先の話を真剣に聞いてたから。あなたなら、このを捨てずにいてくれるって……そうったの」
私は片の入ったビニール袋を、両で包み込んだ。 という歳のみが、掌を通じてじんじんと伝わってくる。
「ちゃん。倉先は……今、どうしてるかってるの?」
私の問いに、は息を呑んだ。 彼女はちがり、部の奥にある事務机の引きしをけた。 そこから取りしたのは、枚のいハガキだった。
「……私がを卒業したに、児童相談所経由で、私の元に届いたの。