"恩人弁護士の不可解な書類" 第14話
彼女の目から、ぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。
「でも、私、もう疲れちゃったんです。会社側からされた答弁には、私が常に業務をサボっていたとか、緒定で周囲に当たり散らしていたとか、全部デマばかりかれていて……。裁判官も、結局は物証がないと会社側の言い分を信じるんじゃないかって。私、もう法廷につのが怖くてたまらないんです」
「物証なら、あります」
私の言葉に、梨さんが顔をげた。
「え……?」
「藤堂専務が、あなたに責任を押し付けようとした、決定な物証です」
私は自分の記憶の引きしを、必にひっくり返していた。 藤堂専務が、どのようにして経理を正に操作していたか。 あの、あの男が私ので引きしから印鑑を取りしたの景。
「梨さん。あなたが正な伝票処理を命じられたのは、何何のことですか」
「……の、です。曜でした。専務から急ぎで『この振込伝票を回せ』と言われて。額は百万円でした。取引先は聞いたこともないペーパーカンパニーで……。私が『正規の見積と請求がありません』と言ったら、専務はものすごい形相で鳴りつけて……」
。 その付を聞いた瞬、私の脳裏で散らばっていたピースが、カチリと音をてて噛みった。
「……やっぱりそうだ」
私の臓が、激しく鳴った。
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「梨さん。私、し確かめたいことがあります。、もう度連絡します。だから……どうか、自分を責めて薬をむのは、今だけはやめてください」
梨さんは、驚いたように目を見きながらも、力くうなずいてくれた。
アパートをた私は、急ぎで自分の部へと戻った。 部に入るなり、クローゼットの奥に押し込んであった段ボール箱を引きずりした。 会社を解雇された、総務のデスクから私物を詰め込んで持ち帰った、あの段ボール箱だ。
テープを引きちぎり、をにぶちまける。 文具、ペンて、卓カレンダー、帳。 その底から、冊のい、角の擦り切れたノートがてきた。
『総務部備品・物品持管理簿(控)』
会社で使っていた正規の管理簿ではない。 私が派遣として入った際、几帳面すぎる性格が災いして、万がの紛失トラブルを防ぐために個に付けていた、販の枚複写式のメモパッドだった。 総務のデスクの引きしには、役員決裁用の予備印鑑や、特定部署の承認印が保管されていた。 藤堂専務は、しばしば正規の続きを踏まず、夜や昼休みに私のデスクへやってきては、「ちょっと印鑑を貸せ」と勝に持ちしていたのだ。
私は指を濡らしながら、ページを猛烈な勢いでめくった。
、……。
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そして、あった。
『 分。藤堂専務、総務保管の専務決裁印および経理承認印を持。返却、同分』
カーボンによって、裏面に青く鮮に転写された文字。 そしてそこには、私が「のためサインをいただけますか」といがった際に、藤堂が苛ち紛れにりきした、あの男特の歪んだサインが、はっきりと残っていた。
梨さんが百万円の架空伝票を突きつけられ、拒絶したのは、まさにの午過ぎだった。 梨さんが押印を拒んだ、藤堂は総務の私のデスクへやってきて、自ら印鑑を持ちし、別の所で伝票に押印したのだ。
会社側は、梨さんが勝に印鑑を持ちして伝票を偽造したと主張している。 だが、この複写控えがあれば、その帯に印鑑を所持していたのは梨さんではなく、藤堂自であったことが完全に証できる。 私の個なメモ帳。だが、藤堂の直のサインが入った、かぬ物理な証拠。
私はそのページを抱きしめ、く息を吐きした。 に入れた。 私を脅し、見し、使い捨てにしたあの男の首元に突きつける、本物の刃を。
翌朝、私はコンビニの朝シフトを終えた、自宅のポストをけた。 案の定、気な気配はすぐそこまで迫っていた。
郵便受けのに、い級な封筒が入っていた。
切は貼られていない。直接、何者かが投函したのだ。 表には私の名。 には、枚の便箋が入っていた。