"レジ打ちの妻は恥ずかしい" 第17話
座の級計で買った万円の計は、質で万円にしかならなかった。 青のテーラーで仕てたオーダーメイドスーツは、の体型にわないという理由で束文で買い叩かれた。 乗っていた古の輸入も放し、それでもりない分は、宗様がにて替える形で、期ぴったりに私の座へ百万円全額が振り込まれた。
通帳の記帳欄に印字された「タカハシショウヘイ」の名義と、百万円の数字を見つめながら、私は静かに息を吐いた。 私が汗垂らして働いて貯めてきたおは、円の欠損もなく、私の元へと戻ってきた。
だが、彼らが支払わなければならなかった代償は、銭だけでは終わらなかった。
式までかを切った段階での、突然の披宴キャンセル。 式側から請求されたキャンセル料は、見積もり総額のパーセント、実に百万円以に達した。 もちろん、その全額をが被ることになった。
それ以に致命だったのは、世体の崩壊だった。
翔平は、招待状をすでに社内の司や顧客、同僚たちに配り終えていたのだ。 「来、結婚式を挙げることになりました」「妻は庭に入り、私を支えてくれることになりました」と、得満面で触れ回っていた、そのすべてに対してキャンセルの連絡を入れなければならなくなった。
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当然、会社側は理由を問い詰める。 最初は「の都」「価値観の相違」と誤魔化そうとした翔平だったが、親族を巻き込んだ警察汰や、消費者融からの額の借トラブルの噂は、瞬くに社内へと漏れ伝わった。
宅設備を売る営業マンにとって、最もなのは「個の信用」だ。 億単位の宅ローンを組む顧客に対して、自分自が見栄のために債務を抱え、婚約者の貯を当てにして破談になった男が、まともな営業活などできるはずがなかった。
翔平の内定していた「営業課チーフ」の昇は、撤回された。 それどころか、顧客とのトラブルを懸した会社の層部により、彼は表台の営業部からされ、郊の資材管理センターの事務職へと遷された。 スーツを着て座や本で顧客とグラスを傾ける活を見ていた男は、作業着を着て、暗い倉庫で伝票の理をする々へと叩き落とされたのだ。
破談から週が過ぎた、半ばの曜。 私は川弁護士のち会いのもと、翔平と最の面会をすることになった。
居として借りていたマンションの賃貸借契約を正式に解約し、鍵を産へ返却するための、最のち会いだった。
駅の喫茶の奥の席で待っていると、自ドアがき、の男が入ってきた。
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私は瞬、それが誰なのか分からなかった。
仕ての良いスーツはどこにもなかった。 着古したヨレヨレのスウェットに、物のスニーカー。 髪はセットされておらず、無精髭が顎の周りに伸び放題になっていた。 わずか数週まで、自信と虚栄に満ち溢れていた歳の青営業マンの面は、どこにも残っていなかった。
「……千」
翔平は私のに座ると、力なく名を呼んだ。 その声はかすれ、線はテーブルの目を彷徨っていた。
「産の解約続き、すべて終わりました。敷の返戻分と、割り賃の清算細です」
私が事務に類を差しすと、翔平はそれを受け取ろうともせず、ただじっと私を見つめた。 その瞳には、みと、悔と、そして未だに理解できないという困惑のが混ざりっていた。
「……なぁ、千」
翔平は震える指先で、え切ったをんだ。
「俺は……俺は本当に、おを幸にしようとしたわけじゃないんだ」
消え入るような声だった。
「俺はただ……男として、ちゃんとした庭を築きたかっただけなんだよ。周りの同期がみんな綺麗な奥さんをもらって、専業主婦にして、週末には族でいいにって……そういう『ちゃんとした活』をおに与えてやりたかったんだ。俺の妻として恥ずかしくないように、だしなみをえて、恥ずかしくないにしてやりたかった。