"10倍の下剤と検事になった嫁" 第7話
何かを伝えようとする義父の目は赤く潤んでいた。
私は義父の目を見つめ返し、そっと枕のにを入れた。
そこにはさな古い布袋が隠されていた。
ずしりとしたみのある袋をける。
に入っていたのは、象で作られた派な印鑑だった。
義父の実印である。
義母が遺言を偽造したとしても、この実印と印鑑証がなければ正式な続きはできない。
義母が血になって探していたものを、義父は自ら隠し持っていたのだ。
義父の目から筋の涙がこぼれた。
彼はベッドので全てをっていたのだ。
妻の裏切りも、息子の酷さも、そして私が孤独に耐えながら戦っていることも。
言葉は話せなくても、義父は私の唯の方だった。
私は実印を袋ごと自分のエプロンのポケットに入れた。
義父のを両で包み込む。
「お義父さん、もう丈夫です。私が必ず全てを終わらせますから」
義父は堵したようにさく頷き、静かに目を閉じた。
これで全ての準備がった。
私がちがり部のかりを消そうとしたそのだった。
玄関のドアが激しい音をてていた。
病院にいるはずの義母が、荒い息をして戻ってきたのだ。
靴を脱ぐ音も乱暴で、ただならぬ気配が伝わってくる。
義母の焦った独り言が廊に響き渡った。
「どうして見つからないのよ。
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今に続きしないとにわないのに」
そして真っ直ぐにこの義父の部へと向かってくる音が聞こえた。
玄関のドアが、蝶番が壊れるのではないかとうほど激しい音をてていた。
廊をドタドタと歩く乱暴な音は、全体を震わせるようだった。
私は義父の部の襖のに歩がり、静かに息を潜めた。
病院から戻ってきた義母の恵子である。
その音は迷うことなくこの部へと真っ直ぐに向かってきた。
襖が荒々しく放たれ、義母が部に転がり込んできた。
いつも綺麗にセットされている髪は振り乱されている。
にはいシワが寄っていた。
彼女の顔には病院の待で見せた恐怖のはもうない。
あるのは自分の計画が狂ったことへの激しいりと浅ましい焦りだけだ。
義母は部の隅につ私に全く気づかず、義父のベッドへと突した。
義母の切り声が静かな部の空気を鋭く切り裂いた。
「あなたどこなの!どこに隠したのよ!」
彼女は寝たきりの義父の布団を乱暴にめくりげた。
義父の細く々しい腕が、ベッドのたい鉄の柵に無残にぶつかる。
義父は苦痛に顔を歪めたが声をすことはできない。
ただ怯えた目で狂乱する妻を見げるだけだった。
義母は義父の枕を放り投げた。
「今に続きしないとにわないのよ!しなさい!」
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義母はシーツのを血になって探り始めた。
ベッドの周りにあるさな引きしも次々とに引きずりされる。
ガーゼ、塗り薬、古い写真などが無残にに散らばっていった。
娘の美穂が病院での境を彷徨っているというのに、義母のにはおのことしかないのだ。
私はその恐ろしいほどの執に背筋が凍るようないがした。
私はエプロンのポケットにを入れ、そのにあるい象の触を確かめた。
義母が今狂ったように探している義父の実印。
それはすでに私ののひらのに全に守られている。
このさな印鑑がなければ、義母は遺言を偽造することもできな続きをすることもできない。
私はく息を吸い込み、静かな声でをいた。
「お義母さん、お義父さんが苦しんでいます」
私の声に義母は弾かれたように振り返った。
その目は血り、まるで獲物を逃した獣のような恐ろしい形相だった。
義母は息を荒らげながら言った。
「由美さん、あなたいつからそこにいたの?」
私は落ち着き払った声で答えた。
「今、お義父さんの様子を見に来たところです。何かお探しですか?」
私の声に、義母は瞬だけ言葉を詰まらせた。
自分が夫に乱暴を働いていたところを見られた焦りがあったのだろう。
しかしその焦りはすぐにどす黒いりへと変わった。
義母は私をきつく睨みつけ、威圧するように歩づいてきた。