"父の逝った夜の車" 第10話
胸の奥から、い塊がせりがってきた。 もう、耐えられなかった。 私で、このさに耐え続けることなんてできなかった。
私はスマートフォンを取りし、畳のに置いた母のにカメラを向けた。 カシャリ、と乾いたシャッター音が静かな部に響く。
私は族のグループメッセージ――兄の健と、姉の美咲、そして私のだけのグループをいた。 そこに、撮したの写真を添付した。
そして、震える指でメッセージを打ち込んだ。
『とも、これを見て。 お父さんの事故は、ただの台のスリップ事故じゃない。 おじさんののブレーキが壊れていたのを、おじさんはっていてお父さんに貸したの。 備のから全部聞いた。おじさんの過失だった。 それに、お母さんが遺したこのを見て。 「名誉なに方」って何? おじさんは何を隠してるの? 私たちは、お父さんを殺したのおできてきたんじゃないの?』
送信ボタンを押した。
画面のに「送信済み」の文字がた瞬、臓が破裂しそうなほどの悸が襲ってきた。 戻りはできない。 族が守ってきたの平を、私が自らので爆破したのだ。
画面を見つめたまま、分が過ぎ、分が過ぎた。
突然、画面が激しく震えた。 健からの着信だった。
通話ボタンをスワイプし、に当てた。
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「……もしも――」
『千鶴、お、正気かッ?!!』
鼓膜を突き破るような兄の号が響いた。 話の向こうで、類がバサバサと乱暴にめくられるような音が混ざっている。職の湯か非常階段に駆け込んだのだろう。
『何なんだよ、今の写真は! お、どこでそんなものを拾ってきたんだ!』
「実だよ……お母さんの裁縫箱の底に、隠してあったの。兄ちゃん、ちゃんと読んだ? お母さんは――」
『お、いい加減にしろよ!!』
兄は私の言葉を力任せに遮った。呼吸が荒く、りで声が裏返っている。
『おじさんの過失だ? おじさんがお父さんを殺しただと?! よくそんなが利けるな! お、自分が何を言ってるか分かってんのか!』
「でも、備の松田さんが全部話してくれたの! ブレーキパッドが擦り切れてるのをおじさんはってて、万円を惜しんで直さなかったって! 警察にも嘘をついて――」
『それがどうしたって言うんだよッ!!』
兄の声が、話のスピーカーをビリビリと震わせた。
『万円を惜しんだ? おじさんがを惜しむようなかよ! 俺が卒で就職する、おじさんが何をしてくれたか、おってんのか?! 俺の成績じゃ入れないような会社にをげにって、取引先の専務のにをついて、晩で本酒をもまされて、胃潰瘍で血を吐いて救急で運ばれたんだぞ! 病院のベッドで点滴打ちながら、おじさんは俺に何て言ったとう?! 「健、受かってよかったな。
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これでしてお父さんに報告できる」って、笑って言ったんだぞ!!』
「兄ちゃん……」
『美咲の結婚式のだってそうだ! 相の親が「父親がいないとは釣りわない」って難を示した、おじさんは自分ののを担保に入れて、百万円を用ててくれたんだ! 「美咲ちゃんを馬鹿にするような奴らは俺が許さない」って言ってな! 自分のがどれだけ苦しくても、自分のを解約してまで、俺たちにをしてくれたんだよ! それを……もの事故の類を引っ張りして、おじさんを殺し扱いするのか?! おは、どれだけ恩らずなんだよ!!』
受話器の向こうから、兄の荒い息遣いと、洟をすするような音が聞こえた。 りだけではない。兄は、泣いていた。
『……おは昔からそうだ。自分だけ被害者みたいな顔をして、おじさんを避けて、族の輪に入ろうとしなかった。 俺と美咲が、どんないでおじさんにをげて、謝してきてきたか、おにはこれっぽっちも分かってないんだ。 過をほじくり返して、おじさんを追い詰めて……この族をめちゃくちゃにして、おは何がしたいんだよ!』
「私は……めちゃくちゃにしたいわけじゃない……ただ、真実をりたいだけ……」
『ってどうする! おじさんを刑務所に送るのか?! 俺たちを育ててくれた恩を、今さら告発するのか?! そんなこと、俺が絶対に許さないからな!』